ユニクロ世界一、在庫レスストア、C2C、金融主導再編…5つの予言が進行形で的中!

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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アパレル業界でいま起こっていること

2019年、私は「20年はTOB元年」になると予測した。そして、その予測は見事あたり、最近の新聞紙面上で企業の合併に関する記事を見ない日はないほどになっている。その他、的中させた予言は枚挙にいとまがない。今回はその予言を一つひとつ検証することを通じて、いまのアパレルに起こっていることを深く掘り下げていきたい。

ユニクロ銀座店の様子
(ロイター/Kim Kyung Hoon)

在庫レスストアが20年から増え始めた理由

 私は「20年はTOB元年になる」と予測したが、それ以外にも大きく5つの予言をしている。

 1.世の中には服が溢れ、サステイナブルな循環経済へと移行する中、アパレル業界はモノを売るのでなく、消費者からモノを買い取ることが始まり、クルマのような二次流通企業ができあがるだろう

 2.アパレル企業は在庫を持たなくなる

 3.個人間取引業者が市場の大多数を占めることになる

 4.商社不要論から商社活用論へ代わり、商社がプラットフォームになる

 5.アパレル企業は、バブル期に溜め込んだ資産を取り崩すことで生きながらえてきたが限界近づき業界再編が起きる。しかし、再編は金融主導で行われるだろう

 などだ。

 1に関して言うと、自らスタートダッシュをしないアパレル業界は、誰が先頭を走るのかを横目で見ている状況が続く。そして、まさに、時価総額世界第2位となったファーストリテイリングがH&Mを追い抜き、世界一になる日は近く、同社が、買取事業を行うだろう、とも予測した。なぜなら、世界トップとなった企業の敵は、同業者でなく、「世界の目と期待」だからである。優等生は、常に模範生でなければならないのだ。同社は、消費者から不要になった衣料品を受け取り、リサイクルダウンを販売し始めた。こうした動きは加速し、今後、次々と、アパレル企業の買取、および二次流通市場(すでにZOZOはやっている)は拡大するだろう。

 ファーストリテイリングの主戦場は今後、経済成長性を考えればアジアとなる。そうしたなか、すでに桁違いの投資をアジアにし、出店しているファーストリテイリングが1位となるのは必然だからだ。

 2に関していえば、大手コンサルティングファームでの記憶を思い出す。私は某経済新聞から取材を受けたのだが、私の「アパレルは在庫を持たなくなる」という主張が、業務に精通していないコンサルタントの人達の横やりによって、捻じ曲げられそうになった。彼らは「在庫がなくてどうやって店を運営するのだ?」「半製品だって在庫だろう」という主張を崩さなかったからである。私は、半製品と完成品のライトオフの期間差から来る利益率割合さえ理解していない人間とこれ以上議論をしてもムダだ、とあきらめたことがあった。わずか4年前だ。

 それが今では、ファッションビルのマルイを展開する丸井グループは在庫レスのレディースシューズの店を出し、ZARAは六本木ヒルズに、つい最近ではオンワード樫山が「売らないお店」を出した。「リアル店舗」は「体験場」となり、ネットが「受注場」になるという、私の予言通りになったのだ。

 

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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