ドンキ運営のPPIHが農産物の輸出促進組織立ち上げ 安田隆夫会長が語った海外展開の野望とは
産地と提携し効率的な
輸出ルートの開拓へ
会員制組織PPICは、PPIHの海外の店舗への農畜水産物の輸出を希望する法人・個人事業主であれば、無料で入会できる。
入会者には提供メニューとして、PPIHとの取引契約の締結のほか、定期的な輸出商談の機会や、海外店舗のトレンド情報などが与えられる。
生産者にとっては、生産物の販路拡大や、長期的な取引契約を結ぶことで計画的な生産が、PPIHにとっては、海外店舗で販売する日本産食品の確保が可能になる。
また、これまで日本産食品は必ず東京を経由し輸出していたが、今後は産地と協力することでより効率的な輸出ルートを開拓し、浮いたコストで現地販売価格の低価格化を図る。
農林水産省では2030年までの目標に、農畜水産物の年間輸出額5兆円への拡大を掲げる。これに対しPPIHでは同年までに海外事業の年間売上高1兆円(20年は1000億円)、PPICでは日本産農畜水産物の年間輸出額3000億円の達成をめざす。
現在PPIHは、米国、香港、タイ、シンガポールで計51店を展開する。30年までの目標を達成させるべく海外店舗数は500店規模まで広げたい考えだ。
19年にPPIHの非常勤取締役に復帰した安田会長は、PPIHグループの環太平洋エリアでの成長の総指揮を執る。「なかでもASEANエリアでの『DON DON DONKI』の多店舗化を最後のライフワークとしたい。気力ではまだ若い者には負けず、体力的にもあと10年は使いものになると自己診断している」(安田会長)。
生産者や行政を巻き込んで日本産農畜水産物の本格的な販売に乗り出したPPIH。安田会長の野望とともに、海外事業がいっそう加速していきそうだ。