連載 スーパーマーケットの2020 #9 万代

森田 俊一
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前期業績は増収・経常減益

 万代は非上場であるため、詳細な業績動向は公表されていない。同社HPで公開されている2020年2月期業績は、売上高が対前期比3.5%増の3582億円、経常利益が同22%減の49億円の増収・経常減益だった。

 関西地方、とりわけ万代の地盤である大阪エリアではイオン(千葉県/吉田昭夫社長)系のSM企業、SM最大手のライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)など大手有力小売がこぞって出店を続けている。万代の減収も、競争の激化とは無縁ではないだろう。

 だが、この“コロナ特需”によって、万代もご多分に漏れず、業績が上向いていると見られる。今後は、今回の特需で獲得した新規客をリ固定客化させていけるかどうかが焦点になりそうだ。

絶大な支持の理由は「総合力」か

 さて万代は、日本生産性本部のサービス産業生産性協議会が発表した「JCSI(日本版顧客満足度指数)」の2020年度第1回調査において、スーパーマーケット業種の顧客満足スコアで第6位を獲得している。

 ちなみに、1位は首都圏地盤の「オーケー」、2位は「コストコ」、3位は「成城石井」、4位に「業務スーパー」、5位が「TRIAL(トライアル)」がランクインしている(いずれも店舗ブランド)。

 ディスカウント系のSMが複数上位にランクインする中での万代の6位獲得は、「単に価格が安い」ということだけではなさそうだ。

 ある在阪の新聞記者はこう話す。

 「たしかに『万代は安い』という印象を持っている人は多いと思いますが、取り立てて安いというイメージはないですね。大阪には安売りをする店が多いですが、万代は生鮮食品の鮮度や品揃えなど『低価格+α』の“総合力”があるといえるのではないでしょうか」

 ここでいう総合力とは、目の肥えた大阪の消費者を惹きつけているのは、「SMとしての総合力」ということだろうか。コロナ特需により、SM各社は今のところ堅調な業績を残している。想定外の追い風は、万代の評価をさらに高めることになりそうだ。

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