フードデリバリー最大手が参戦!? 大混戦の予感漂う米EC市場
ドアダッシュのネットコンビニ「ダッシュマート」とは
さらに同社は8月5日、シカゴやダラスなど8都市で独自の配送センターを新たに立ち上げ、ネットコンビニサービス「ダッシュマート」をスタートした。
通常の外食宅配は、スマホアプリ経由で受注した商品を、配達員が提携先の飲食店で受け取って利用者へ届ける。だが、ダッシュマートは自社で仕入れた商品を在庫として配送センターで保管、受注後にそのセンターから消費者に最短30分で配達する。
つまり、ラストマイル機能を武器としてきた企業が、ネット通販事業そのものの主体となったのである。
ダッシュマートの取扱品目は、食品や日用品などの約2000品目で、地元の飲食店が扱う調味料やベーカリー、スイーツなども含まれている。同社は、全米に事業エリアを拡大していくことを発表しており、今後の展開が注視される。
フードデリバリー参戦で混戦の予感?
こうしたドアダッシュの動きについて、三井物産戦略研究所の高島勝秀氏は「EC事業を展開していくうえでは、商品の仕入れや在庫管理など、リテーラーとしての機能も不可欠であり、ラストマイルに強みを持つだけのドアダッシュが事業を軌道に乗せるのは容易でないだろう」と指摘する。
ただ、このドアダッシュの挑戦は、これまでウォルマートやクローガーなどの実店舗リテーラーと、アマゾンなどのネット技術をベースとした企業が競い合ってきたEC市場に、「ラストマイルの担い手」という新たなプレーヤーが登場したことを意味している。「同社のネットコンビニ事業の帰趨に加え、それに続く企業が現れるのかは、EC市場の今後の展開を左右するファクターと言える」(高島氏)。
コロナ禍による急激な需要拡大への対応を迫られるEC業界。国内でも8月18日に「出前館(大阪府)がウーバーイーツの買収を検討」との報道が流れるなど、(翌19日に出前館は報道を「事実無根」と否定)、慌ただしい動きが見られている。米国の食品小売を担うプレーヤーは今後、フードデリバリー企業の動向もチェックしていく必要がありそうだ。
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