アフターコロナの小売像その3 コロナ禍でも進まない無人店舗普及

森谷信雄(ライター)
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コロナ禍は無人店舗普及を加速させるか

 新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、店内での接触回避が求められるこの状況は、無人コンビニ、無人スーパー拡大の背中を押すことになるのだろうか。あるカード会社の幹部は、「セルフレジの導入は増えるでしょう。しかし、無人店舗の展開ペースはいたって遅いのではないか」と話す。

 なぜか。それは日本において現金信仰が根強いからだ。政府は2025年までにキャッシュレス決済の比率を現行の約20%から40%に引き上げる計画を打ち出している。カード会社の幹部も「この程度の比率にならないと、無人コンビニが一般化するのは難しい」と指摘。「決済のスピード化は小売業にとってストアロイヤルティを上げる手段にはなる。しかし消費者の最終的な店舗選択の決定条件ではない」とも付け加える。

 キャッシュレス決済は店舗運営の効率化や、コロナ対策として“密”の回避につながることは理解されている。しかし、いくらコロナ対策といっても現金信仰の意識が変わらなければ、無人コンビニのようなレジレス店舗の普及スピードが加速することはなさそうだ。

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