「焼肉きんぐ」が海外初出店! 成長市場・東南アジアで覇権を握れるか 

吉牟田 祐司

焼肉業態で国内売上ナンバーワンの「焼肉きんぐ」が海外初出店を果たした。2025年8月、フィリピンに「YAKINIKU KING Mall of Asia店」をオープン。予想を超える客数・売上を記録し、好評な滑り出しを見せている。今後、海外においてどのような拡大戦略を計画しているのか。運営する物語コーポレーション(愛知県/加藤央之社長)の担当者に話を聞いた。

 “人口ボーナス期”が続く有望市場

「YAKINIKU KING Mall of Asia店」外観
「YAKINIKU KING Mall of Asia店」外観

 日本国内で355店舗を展開し、業界1位の売上を記録する焼肉きんぐ。意外なことにこれまで海外には進出してこなかったが、2025年8月26日、フィリピンの首都マニラにある大型商業施設「SMモール・オブ・アジア」に「YAKINIKU KING Mall of Asia店」を出店。ついに海外進出を果たした。

 フィリピンは15~64歳の生産年齢人口が相対的に多い“人口ボーナス期”にあり、2050年頃まで人口増加が続くと見込まれる有望市場。物語コーポレーション執行役員で海外営業推進本部本部長の山口学氏は「当然ながら経済発展はめざましく、(今回の出店は)大きなチャンスと捉えている」と話す。

 現地法人とのフランチャイズ(FC)契約を結んでの出店。「オーナーはもともと日本食チェーンのFC店舗を手掛けていて、意思疎通がしやすく、日本でわれわれの店舗を視察してすぐに意思決定してくれた」と山口氏。物語コーポレーションでは「焼肉きんぐ」の海外進出の構想が以前からあり、山口氏が担当となったのが2024年7月だったという。

物語コーポレーション執行役員
執行役員・海外営業推進本部本部長の山口学氏

「こだわったのは、日本と同じ品質の提供。国内店舗では肉の仕入から物流までの一連の流れが、長年取り組んで改善を重ねてきたおかげで高いレベルで確立されている。しかしフィリピンでは日本とは異なりイチからのスタートだったため、肉を仕入れる業者の選定やメニューの検討・試作を何度も繰り返した」(山口氏)

ロイヤルグリルコース
最も高いロイヤルグリルコース約110品(1,599フィリピンペソ=約4,100円)

 すでにフィリピンには韓国式焼肉のチェーン店があり、ビュッフェ形式で食べ放題のレストランが人気を集めているという。また出生率は日本の1.42に対して、フィリピンは2.98、3世代が同居しているような大家族も多く、祝いの日などに家族で外食する習慣もある。オープン後の手応えは上々。注文可能品数によって価格が異なる120分食べ放題の3コース制で、一番高いコースのオーダーがもっとも多く、来店客数・売上ともに予想を大きく上回っている。

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