ヨークHD新体制下の経営戦略を発表イトーヨーカ堂はフード＆ドラッグに専念へ

2025/09/10 05:00

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小笠原玲（ダイヤモンド・チェーンストア編集記者）

9月1日付でベインキャピタル傘下となったヨーク・ホールディングス（東京都／石橋誠一郎社長：以下、ヨークHD）が9月3日、戦略説明会を開催した。焦点となるのは、長年収益の確保に苦戦してきたイトーヨーカ堂（東京都／山本哲也社長）の再建だ。早期のIPO（新規株式公開）実現をめざすヨークHDは、どのような成長軌道を描こうとしているのか。

イトーヨーカ堂の山本哲也社長（左）、ヨークHDの石橋誠一郎社長（中央）、ベインキャピタル・ジャパンの西直史氏（右）

食品スーパー領域で競争力を強化

　ヨークHDは9月3日、新体制の下での新たな経営戦略を発表した。同社の石橋社長は「消費頻度が高く、日常利用される食品スーパー領域での差別化が重要」と話し、食品スーパー事業を強化していく方針を掲げた。

　その柱となるのが、イトーヨーカ堂の事業構造の見直しだ。グループ最大の事業会社である同社は総合スーパー（GMS）として、これまでフード＆ドラッグ事業のほか、専門店事業やテナント管理事業を抱えてきたが、27年度以降はフード＆ドラッグ事業に経営資源を集中させる。

　一方、そのほかの専門店事業やテナント管理事業は、ヨークHDのグループ会社であるクリエイトリンク（東京都／井上了德社長）に27年度以降移管する。既存の「アリオ」、GMSの「イトーヨーカドー」については、「CSC（コミュニティショッピングセンター）として運営していく」（石橋社長）とし、デベロッパー事業を手掛けるクリエイトリンクが培ってきたリーシングや施設運営のノウハウを活用し、館全体の集客拡大をめざすねらいだ。