良品計画 松﨑曉社長が語る 無印良品が食品を強化する理由~2030年頃までに売上構成比30%へ
社会貢献だけでなく利益も確保する
──今後の出店戦略について教えてください。
松﨑 今後は国内で毎年15~20店舗をコンスタントに出店していく計画です。売場面積については、従来の標準店の250坪では現在展開している商品をすべて陳列するスペースを確保できなくなっているため、500坪程度の店舗を中心に展開し、冷凍食品やチルド商品など、食品売場を拡大したいと考えています。30年頃までには、食品の売上高構成比を30%ほどまでに伸長させたいです。
オペレーション面では17年から配員基準に対する充足率を改善し、各店舗の人員を増やしました。また、電子タグの導入も検討しています。食品はまだですが、すでに衣料品ではサプライチェーンで電子タグを取りつけ、実用化に向けて実験を開始しました。
海外では、中国で毎年30店舗を安定的に出店していきます。一方、米国では黒字化を達成するまで出店を凍結しました。欧州については18年末から出店を再開していますが、売場面積については見直したいと思います。これまで出店してきた大型の旗艦店は無印良品の世界観を伝えるためには非常に有効ですが、現地の運営体制がしっかりしていないと維持できません。そのバランスを見極め、適正な売場面積を模索していきます。
──最後に、これからの無印良品がどのような店舗をめざすのかについて聞かせてください。
松﨑 われわれは「感じ良いくらし」の実現をめざしています。現代では社会が分断され、人同士のつながりが希薄になりつつあります。このような状況下で社会との関係性を再構築するため、当社は地域活性化を中心にさまざまなことに取り組んできました。商品を購入していただきたいのはもちろんですが、それ以前にまず人が店舗に集まることが大切だと考えています。そのため、無印良品は人と人をつなげる「プラットフォーム」になることをめざしています。
しかし、企業としてしっかり利益を出さなければ、このような地域活性化の取り組みはできません。18年2月に創設した「ソーシャルグッド事業部」は、その名のとおり社会によいことをするために設置した部署ですが、ただ社会に役立つだけではなく、同時に利益の確保をめざして「事業部」と名付けました。社会貢献につながり、かつ利益も見込めるのであればこんなによいことはありません。無印良品は今後も何が社会のためになり、何が会社の利益になるのかを両面から考えながら、さまざまなことに取り組んでいきたいです。
※本インタビューは20年2月初旬に行われました
良品計画企業概要
本部 | 東京都豊島区東池袋4-26-3 |
設立 | 1989年 |
資本金 | 67億6625万円 |
代表者 | 松﨑曉代表取締役社長 |
営業収益 | 4096億円(2019年2月期) |
無印良品店舗数 | 国内420店舗、海外497店舗(2019年2月期) |