三陽商会の新ブランド「ベイカー・ストリート」、初年度売上高25億円目標に順調な滑り出し

2025/05/01 05:55
小内 三奈

 唯一無二の存在をめざす

ベイカーストリート部長
事業統轄本部 事業本部ポール・スチュアート、ベイカー・ストリートビジネス部 部長の桜井進氏

 ベイカー・ストリートが意識している競合ブランドはどこになるのか。ブランドイメージの前提となるモノづくりの面では、三陽商会の品質の高さは広く知られているところだ。

 桜井氏は「ベイカー・ストリートがねらう上質なカジュアルブランドというのは、実はありそうでない、独自のポジションだと捉えている。競合ブランドを意識せず、敢えて同質化を避けたいという想いも強く持っている」と話す。

 ブランドがリリースされて、まだ数カ月。認知度はまだまだ高いとは言えないのが現状だが、購買層の広がりという意味では、新たな傾向も見えている。たとえば、花柄をあしらったプリントシャツなどは特に女性の目に留まりやすい。その結果、「若い男性の購入が増えていることに加えて、女性がご本人用として購入されるケースも見受けられる。もともと妻が夫のために購入するといった代理購入の比率は高かったが、ブルゾンやシャツなどは、オーバーサイズを羽織りのように着用する着こなしが流行していることもあり、女性からも好評のようだ」(桜井氏)という。

 当面の課題は、ブランドを広く知ってもらうことに尽きる。今後1年かけて、ブランド公式サイトを中心とし、SNSの活用も進めながら、ブランドアンバサダーである山本氏と共にさまざまな形でブランドを訴求していく。

「品質に対する安心感には大きな自信を持っている。従来より価格を抑えつつも、デザイン性も品質レベルも高い上質なカジュアルウェアとしての魅力を、より多くのお客さまに伝えていく必要性も感じている。短期的な目標は、百貨店ビジネスを確立し、メンズカジュアルブランドとしての地位を確立すること」(桜井氏)

 今後は、靴下、帽子、バッグなど手に取りやすい雑貨類をさらに充実させる計画だ。桜井氏は「長期的には、誰もが知っている唯一無二のライフスタイルブランドへと成長させていきたい」と意気込む。

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