三陽商会の新ブランド「ベイカー・ストリート」、初年度売上高25億円目標に順調な滑り出し

2025/05/01 05:55
小内 三奈
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三陽商会(東京都/大江伸治社長)の新メンズブランド「ベイカー・ストリート(BAKER STREET)」が、2月より全国の百貨店で順次展開をスタートし、好調な売れ行きを記録している。オリジナルのタータン柄やブリティッシュテイストのプリント柄などを用いて幅広い年代に受け入れやすいデザインを展開。俳優・山本耕史氏をブランドアンバサダーに起用するなど、話題性のある取り組みによる反響も大きい。新ブランド立ち上げの背景や戦略について、同社事業統轄本部 事業本部ポール・スチュアート、ベイカー・ストリートビジネス部 部長の桜井進氏に話を聞いた。

「脱・シニア」路線で新たな市場開拓へ

BAKER STREET 京王百貨店
京王百貨店新宿店の店舗

 三陽商会ではここ数年、これまで注力してきたライセンス事業のリスクを懸念し、自社ブランド化の推進を強化している。ベイカー・ストリートもその一環で、同社で51年の歴史をもつライセンスブランド「ザ・スコッチハウス(以下、スコッチハウス)」のライセンスビジネスからの脱却を目的に誕生した。立ち上げにあたって大きく打ち出した戦略は、ブランドの若返りだ。

 桜井氏は「スコッチハウスは長年、全国の主要百貨店に店を構えるアダルトシニア向けのカジュアルブランドとして親しまれてきたが、中心顧客層が65歳前後となっていた。そこで、新ブランドでは若返りを図り、50代をコアに30~40代の若い世代の取り込みもねらっていく。めざすのは、若々しさのあるカジュアルスタイルだ」と話す。

 スコッチハウスを引き継ぐブリティッシュカジュアルを基本としつつ、遊び心のあるデザインを取り入れた。

 「最も需要が大きい着用シーンは旅行などの外出の場。ブランドの顔となるタータン柄をはじめ、花柄のプリントシャツやプリント柄を部分づかいしたカットソーなどを取り揃え、クリーンで明るいカラーバリエーションにしている。さらに、若い世代が手に取りやすい商品を増やそうと、カジュアルパーカーやMA-1、デニムなども展開している」(桜井氏)

 同時に、若い世代でも手の届きやすい価格帯へと見直しも進めた。最低価格を全体的に2割程度下げ、カットソーは1万2100円(税込)~、シャツは1万4300円(同)~、パンツは1万8700円(同)~という設定にした。

 初年度である2025年の売上目標は25億円を掲げているが、その目標値に対しても順調な滑り出しとなっている。

「当社にはテーラードやスーツが強いフォーマルブランドがあるが、ベイカー・ストリートはそれらとは異なる『大人のカジュアルブランド』。会社の基幹事業となるブランドをめざしていきたいと考えている」と桜井氏は意気込む。

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