ひと味違う商品で支持得る「日本酒で鮮度を訴求したい」=日本盛常務取締役 営業本部長 上野太郎
「糖質ゼロプリン体ゼロ」は業界初
──ほかにも力を入れる商品はありますか。
上野 「健康」を切り口とする「日本盛 糖質ゼロプリン体ゼロ」です。商品名のとおり、業界では初めてとなる「糖質ゼロ」に加え、「プリン体ゼロ」であるのが大きな特徴です。パッケージは、グリーンを基調としたデザインで、そこに「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」の文字を大きくあしらっています。
2015年9月に発売を開始して以来、予想を超える水準で売上が伸長し、直近の実績でも対前期比2ケタ増と好調を続けています。健康系商品は他社も出していますが、日本酒分野で最も成果を出しているのは当社だと自負しています。
──高齢化の進行を背景にますます健康系商品は注目度が高まりそうです。
上野 実は、当社が健康への取り組みを始めたのは最近ではなく、創業100周年を迎えた1989年に遡ります。「酒造りを通して人々に幸福を」という企業マインドをベースに新しい事業のプロジェクトをスタートさせたのです。キーワードに設定したのは「健康」「自然」「新鮮」でした。
そのうち「健康」を具現化した商品は、1995年に発売した「健醸」です。肝臓の働きによい影響を与える、米由来の天然ビタミン「イノシトール」を、従来の日本酒の約50倍(自社比)含むのが特徴。そして健康系のコンセプトを引き継ぎ、「健醸」は2020年2月25日に、1合(180ml)あたりにシジミ30個分のオルニチン含有した商品に25年ぶりのリニューアル発売をします。
──「日本盛 糖質ゼロプリン体ゼロ」をより多くの人に知ってもらうためのプロモーションなどはあるのですか。
上野 これまで専門医の方が当商品を推奨して下さったお陰で、商品の信用力が向上しました。今春はライザップとの提携が決まり、本気で糖質制限に取り組む方にも訴求できると思います。これまで日本酒を敬遠していた方にも飲んでいただきたいです。
「日本酒に振り向いてもらいたい」
──今年は、どのような施策を予定していますか。
上野 今年は日本でオリンピックが開催される記念すべき年なので、多くの方々に日本酒に振り向いてもらえるような機会を提供しようと計画しているところです。たとえば東京では、当社の商品を販売する直営店を構え、日本酒のおいしさ、楽しさを発信したいと考えています。各種施策により、日本人だけでなく、インバウンド需要も取り込みたいと考えています。
──上野常務は、セーリングの日本代表として2008年の北京オリンピックに出場されたご経験もあり、今年の施策には期待が持てそうですね。最後にSM企業へのメッセージをお願いします。
上野 近年、日本酒は米を磨く比率(精米歩合)で価値が判断されてきました。そこに、本来、保存が難しい生原酒を手軽に楽しめる「生原酒ボトル缶」シリーズにより、新しい価値として“鮮度”を訴求できるようになりました。また、永く日本酒を楽しんでいただけるよう「健康」に配慮した商品作りも進めて参ります。
この「鮮度」と「健康」をキーワードに日本酒の魅力を高め、日本酒業界の金メダルを獲りたいです。
日本盛企業概要
創業 | 1889年 |
社長 | 森本直樹 |
本社 | 兵庫県西宮市 |
従業員数 | 190人(19年3月末時点) |