マックスバリュ東海(静岡県/作道政昭社長)は10月9日、2025年2月期第2四半期決算(連結)を発表した。24年度は、経営基本方針に「事業戦略の着実な実行」「DX戦略の推進」「サステナビリティ戦略の始動」を掲げ、前年度から大幅増となる130億円の投資を予定する。これは、23年度の投資額73億円から大幅な増額となる。マックスバリュ東海が機関投資家向けに発表した年度計画の進捗と第2四半期の業績についてレポートする。
25年2月期第2四半期は過去最高益を達成
マックスバリュ東海の2025年2月期第2四半期決算は、売上高が1841億円と、対前年同期比3.7%増となった。また、営業利益は同増の62億円、経常利益が同8%増の62億円で増収増益を達成し、いずれも過去最高益となった。
増収増益を達成した要因について、作道政昭社長は、「お気に入り店舗登録者数73万人を突破したイオン専用アプリ『iAEON』での『東証上場20周年』の販促クーポン配布などにより、客数を向上できたことが大きい。一方で、消費者の防災意識の高まりといった外部要因の影響もあり、下期は楽観できる状況にない。とくに、買上点数の減少は大きな課題となっている」と話した。
25年2月期第2四半期は、客数は対前年同期比1.7%増、客単価は同1.0%増、売上高は同2.7%増と、いずれも伸長している。しかし、客単価と売上高の増加は商品単価の上昇による影響が大きく、買上点数は同2.3%減で、課題を残すかたちとなった。
積極的な設備投資で販管費を抑制
25年2月期上期は、2店舗を新規出店し、通年の重点施策である既存店改装は11店舗で実施した。昨年から継続する冷凍食品の強化施策では、冷凍ケースの入れ替えを28店舗、383台で行うことで、品揃えを充実させ、消費電力量の削減を実現する。ただし、冷凍食品売場の面積を一律に拡大するのではなく、商品の在庫回転日数を見極めた上で売場の拡充を進めていく方針だ。
さらに、店舗業務効率化を目的として、全店舗でキャッシュレスセルフレジの導入を完了している。
25年2月期の主要施策である電子棚札の導入は、目標を76店舗に設定していたが、導入速度を上げ、上半期で93店舗に導入が完了した。
取締役兼執行役員兼人事総務本部長の二上芳彦氏は「従業員の作業量は、キャッシュレスセルフレジの導入で約5%、電子棚札の導入で約2%が改善された」と話した。
このほか、気象予測データを用いた農産品の自動発注支援システムを活用し、より鮮度の高い商品の提供と発注業務の負担軽減を図る。
そして、これらのDX施策により、販管費の増加を同1.9%増に抑え、2期連続で賃上げ (社員6.4%、パート7.0%)を実現した。従業員満足度を上げることで、顧客満足度も高めることがねらいだ。
顧客接点を増やし付加価値を提供
マックスバリュ東海は、25年2月期下期について、節約志向が強くなる中で、児童手当の対象者が拡充するなど、外部環境の大きな変化を予想する。そこで、顧客接点の創出を目的に、移動スーパー、「Maxマート」、「Uber Eats」などの「ノンストア事業」を下期の主要施策とする。
25年2月期上期では、移動スーパーを12台増やし、計29台の運用体制となった。また、法人向け無人店舗「Maxマート」は28店舗を新規出店し、静岡・愛知・岐阜・三重の4県合計で71店舗を展開する。「Uber Eats」のサービス拠点は11拠点を新規開設し、計70拠点となった。下期はこれらのサービスをさらに拡大していく考えだ。
一方、上期で課題となった買上点数の減少の対策では、地域になじみ深い「じもの商品」、プライベートブランド「トップバリュ」、栄養を考慮した「ちゃんとごはん」など高付加価値商品を展開することで、各店舗、各地域の需要に対応する。
「じもの商品」の取り組みとして、9月25日に第11回「じもの商品大商談会」を開催している。地域特性をよく知る店舗のコミュニティ社員の意見を商品に反映し、より地域に根ざした品揃えの実現と地産地消をめざす。
また、25年2月期上期で客数向上の要因として評価されたイオン専用アプリ「iAEON」は、25年2月期中にお気に入り店舗数100万人をめざし、デジタル販促の基軸として、下期も注力する。
これらの取り組みのもと、マックスバリュ東海では、2025年2月期通期の連結業績を、営業収益が対前期比2.8%増の3770億円、営業利益が同1.6%増の137億円、経常利益が同0.6%増の136億円になると予想した。