最高益を記録!競争激化でもエニタイムフィットネスが絶好調の本当の理由
アメリカ発24時間年中無休のフィットネスジム「ANYTIME FITNESS(エニタイムフィットネス)」が日本で絶好調だ。国内マスターフランチャイジーとして直営店舗の運営とフランチャイズ展開を手掛けるFast Fitness Japan(以下、FFJ/東京都/山部清明社長)は最高益を記録。現在進行形で出店を続け、会員数を伸ばし続けている。顧客獲得の背景には何があるのか? これから先、どのような展開を目指すのか? FFJの山部清明社長に聞いた。
チョコザップを競合とは見ていない
エニタイムフィットネスは、アメリカで誕生したトレーニングマシン特化型の24時間ジム。世界で5,000店舗以上を展開している。FFJは日本におけるマスターフランチャイジーとして直営店舗の運営とフランチャイズを展開、全国1,163店舗 、会員数は93万5000人(※2024年9月末現在)に達している。
近年、日本におけるフィットネス人口は増加傾向にあり、顧客獲得競争が激化。その中で、二極化が進んでいる。1つが月額3,000円前後の「価格訴求型」で、もう1つがマシン特化型からプールやスパ設備までそろえるフルライン型を含む「価値訴求型」。月額7,000~8,000円のエニタイムフィットネスは後者に分類される。一方、価格訴求型を代表するブランドといえばRIZAPが運営するチョコザップだ。
この2強が約400ブランドあるとされる市場をけん引している。その後に続く3~4ブランドは150店舗前後と大きく差が広がり、1~5店舗の小規模な運営も多い。
「もちろん私たちもコロナ禍では苦しかった。すべてのジムを2か月ほど閉鎖して2割ほどの会員を失った。ただし、その後は右肩上がり。2022年3月の1,000店舗突破から年80店舗のペースで出店し、1店舗あたりの平均在籍会員数は800人を超えている。24時間利用でき、会社、学校、自宅とどこの近くにもエニタイムフィットネスがあり、いつでもどこでもトレーニングができる状況をつくり出せている。その利便性が高く評価されているのだと思う」(山部社長)
二極化したフィットネス市場で、もう一方の極を成す価格訴求型のジムについては、どう捉えているのだろうか。2022年7月に登場したチョコザップは、業界シェアトップの座をエニタイムフィットネスから奪い、全国約1,500店舗を展開するまでに急成長した。料金面で勝負するのは明らかに分が悪く、「仇敵」といえるのではないか。
「正直言って、競合とは見ていない。あちらは運動初心者を取り込んでくれていて、われわれは週2~3回以上しっかり運動したい人に選ばれている。運動習慣が根付き、広く浸透するように市場を盛り上げていくうえで、心強い仲間と認識している」
チョコザップが運動を始めるきっかけになり、その後、本格的にトレーニングしたいとエニタイムフィットネスの会員になる人も多いようだ。とはいえ、24時間365日運動ができるフィットネスジムというビジネスモデルは同じ。多くの人への訴求に成功し、93万人を超える会員を獲得しているエニタイムフィットネスが提供している「価値」とは果たして何なのだろうか。