経常利益はコロナ前の3倍!ラウンドワンに行きたくなる“2つ”の戦略とは

2024/10/10 05:56
堀尾大悟
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国内事業を牽引する「ギガクレ」と「推し活」

ラウンドワンのギガクレ導入店
ギガクレーンゲームスタジアム ※写真はイメージ

 では、なぜ数字が伸長しているのか。その要因は大きく2つある。

 1つは、クレーンゲームの改装によるテコ入れだ。ラウンドワンのクレーンゲームは、もともと1店舗あたり100台が通常だが、その約3倍の300台規模の「ギガクレーンゲームスタジアム(ギガクレ)」を約75店舗で導入している。この「ギガクレ化」を果たした店舗は、軒並み業績が向上している。

 普段、アミューズメント施設に縁がない人にとっては「クレーンゲームがなぜそこまで人気なの?」と驚くかもしれない。しかし、岡本氏によると「2005年までクレーンゲームの景品売上はアミューズメント事業の約20%だったが、コロナの直前の2019年ですでに50%台まで高まっていた」という。

「この約20年の間に、景品のIP(Intellectual Property:知的財産)としての価値が変わった」と岡本氏は語る。

 20年前は、クレーンゲームの景品といえばテレビアニメのキャラクターが主流だった。アニメ放映期間の前後数カ月間は売れるものの、放映が終わるとキャラクター自体はアップデートされないため、おのずと売上は減っていく。

 一方で、今日ではネットフリックスやAmazonプライムなどの動画配信サービスが普及し、繰り返し視聴するファン層も出てきた。また、レアな景品をメルカリなどのCtoC市場で売買する動きも見られるようになった。つまり、キャラクターのIPとしての価値が長寿命し、流行り廃りに左右されにくくなっているのだ。

 さらに、YouTubeやSNSを通じてクレーンゲームの「裏ワザ」といった攻略法を紹介する投稿が増えたことも、ラウンドワンへの集客を後押ししている。このように、クレーンゲームを取り巻く状況が大きく変化したことで、今やクレーンゲームはラウンドワンにとって最大のキラーコンテンツとなっているのだ。

ラウンドワン日向坂46とのコラボ企画
日向坂46とのコラボ企画

 国内事業における、もう一つの好調の要因は「推し活」だ。

 ラウンドワンの公式サイトを見ると、アイドル、アニメ、Vtuberなど各種コンテンツとのコラボ企画が数えきれないほど並んでいることに驚かされる。

 一昔前のラウンドワンといえば、10代、20代の若年層が夜通しカラオケやスポッチャを楽しむ施設のイメージが強かった。ところが、今日の若年層にとっては、1人でも来場し、オリジナルのコラボグッズを手に入れる「推し活イベント」の場として定着しているのだ。

「みんなで集まってカラオケやスポッチャを楽しむ、定番の施設利用の需要も一定数はあるが、それだけに頼っていると来場者数は伸び悩んでしまう。その中で、『推し活』が新たな体験価値を創出し、集客につながっている。『推し活』需要は1人当たりの単価も高いので、収益向上にも寄与している」(岡本氏)

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