三菱商事ファッションが外販開始した、在庫レス、スピード出荷のアパレル製造システムとは
アパレル製造のデータを一元管理
従来のアパレル製造においてオーダーメイドを行う場合では、オーダーシートを紙に手書きし、工場側はファクスやメールで受け取り、現場でパターンを引き直すことが当たり前のように行われてきた。その手間が、データをデジタル化し、クラウドで管理・共有することによって省かれる。
ファクスでは採寸した数字を読み間違えるリスクがあるが、ベースハブでは入力したデータが自動編集されてCAM(自動裁断機)につながる。
発注については、店舗で受けたオーダー内容を本社がチェックして工場に連絡する流れが一般的だ。それがベースハブを導入すれば、店舗でのシステム操作だけで本社、工場に情報共有され、タイムロスが発生しない。
アパレル製造のためのデータを一元化することで、伝言ゲームやバケツリレーのような流れをなくすことができる。オーダー管理、発注、製造工程と在庫の管理、配送・流通までを一元管理するデータのハブとなる。これがベースハブの機能だ。
現在はTHE MEだけでなく5社で導入。「要望に応じてカスタマイズできるため、フルスペックでの導入というより、必要な機能が選んで使われている」と話すのは、トータルソリューション本部の倉田一慶氏だ。
セミオーダーブランドのほか、社員用の制服を用意する企業が利用しているという。サイズレコメンド機能を持つ別のモジュール(UOS=Uniform Order System)と組み合わせることで、数千着単位での製造を試着・採寸することなく依頼できる。全国展開する大企業であれば、サンプルを作り、各支社での試着会を開く必要があるが、その手間がなくなり、リードタイムを大幅に短縮できる。コスト削減の効果も相当大きいはずだ。
外販の拡大を見据えて、倉田氏は「今後は、カスタマイズしなくても必要な機能を広く使ってもらえるようにしていきたい」と言う。来年度にはアップグレードしたバージョンのベースハブをリリースする予定だ。