レシートは語る第11回 直近の月次も好調続く! ヤオコーを躍進させる「二極化への対応」

2023/08/21 05:57
山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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 mitoriz(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約40万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1000万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる(提携サイト含める)。

 このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。

 連載第11回は、増収増益を34期連続で達成するヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)にクローズアップする。同社は直近の既存店売上高・対前年同月比をみても、4月106.5%、5月106 .1%、6 月106 .3%と絶好調だ。

 新型コロナウイルス感染が収束を見せ、世界情勢の影響による原材料価格上昇など、厳しい環境下で、同社はなぜ業績を伸ばすことができているのか。

 23年3月期決算の場で川野社長は「23年3月期は物価上昇に見舞われたが、価格対応を続けたことや、商品の品質に対して、お客さまからの信頼を得ることができている」と、消費の二極化への対応が奏功したと語っている。

 実際にヤオコーは他チェーンと比べて消費の二極化に対応できているのか。調査により明らかにしたい。

「品質」「品揃え」重視の
来店客が5チェーンで最多

 まずは消費者アンケートで、買物をする際に「品質」「品揃え」「価格」のうち、何を最も重要視するかを尋ねた「価値観調査」を実施した。図表1は、その結果を比較対象とした5チェーンのメーンユーザー別にまとめたものだ。(調査期間:2023年6月23日~7月3日、対象:一都三県在住者)。

メーン利用者が最も多かったのは「オーケー」で167人、次に「イオン」(35人)、「ライフ」(223人)、「サミット」(217人)、「ヤオコー」(167人)の順となった。(図表1)。

図表1
図表1

 その結果、5チェーンで比較したなかで、ヤオコーは「品質(39.0%)」「品揃え(15.9%)」を重要視する消費者が最も多いことが見てとれる。とくに「品質」は5チェーン合計より10.3ポイント(pt)高い。

 コメントでは「品物の質や店の雰囲気の良さを重視している」「生鮮品の鮮度が最優先」「食品の鮮度が大切」といった声が挙がっており、ヤオコーは目が肥えた利用者が多いと言えるかもしれない。

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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