ゴディバ ジャパン親会社による「ピエール マルコリーニ」買収のねらいと「相乗効果」とは
2023年4月、チョコレート業界を驚かせる企業買収が発表された。プレミアムチョコレートの先駆けとして日本市場で高い知名度を誇るゴディバ ジャパンの親会社VM2Holdings(東京都・以下VM2)が、同じく世界的なプレミアムチョコレートブランドの「ピエール マルコリーニ」の全株式を買収したのだ。買収の背景や相乗効果について、ゴディバ ジャパンとVM2の代表を務めるジェローム・シュシャン社長に話をうかがった。
ブランドの独自性は大切に
日本で50年以上の歴史をもつゴディバ ジャパンと、世界的に有名なショコラティエであるピエール マルコリーニが同じ企業の傘下となった買収には、どのような背景があったのか。
「VM2は、傘下のゴディバ ジャパンが、日本、オーストラリア、韓国に展開しており、プレミアムチョコレートのノウハウをもっている。もう一つ基幹となるブランドをもちたいと思い、優れたものづくりをしていて、お互いを尊重していけるパートナーを探していた。それが正にピエール マルコリーニだった」(シュシャン社長)
「ピエール マルコリーニ」は、カカオ豆からチョコレートをつくるまでの工程を一貫しておこなうBean to Bar(ビーントゥバー)のパイオニアとして知られ、日本にも多くのファンがいる。「創業者でありショコラティエでもあるピエール・マルコリーニ氏は、VM2が、ゴディバ ジャパンを通じプレミアムチョコレートのノウハウや歴史をもっている点を評価してくれたようだ。大手メーカーや投資ファンドにはプレミアムチョコレートの良さを保ちながらビジネスを行うノウハウがなかなか理解できない」と、マルコリーニ側のメリットについて、シュシャン社長はこう話す。
買収から数ヶ月経った現在、買収による変化は出てきているのだろうか。「ゴディバ ジャパンのチームと、ベルギーのマルコリーニのチームが仲間になっていくステップを実感しているところだ。マルコリーニのメンバーは、プライドとパッションをもっていて、同じ言葉や感覚を共有できていると感じている」