止まらないスーツ需要減に「3ない」で攻勢!青山商事、本気のビジネス大転換とは
リブランディングで消える「スーツカンパニー」に滲む覚悟
4ブランドの中でも、「ザ・スーツカンパニー」は、都市部の一等立地へ出店し、2プライスの分かりやすい価格設定やヘルプ接客などを特徴とし、高い認知度を誇ってきた。それを事実上消滅させてまで、スーツスクエアへの全面刷新を決断したのは、スーツ離れへの危機感の裏返しであり、リブランディングへの本気度の表れといえる。
数字をみれば、決断が間違っていないことは明らかだ。同社の2017年3月期に219万5000着だったメンズスーツの販売着数はコロナ禍の影響をもろに受けた2021年3月期には118万2000着に激減。その後、微増傾向にあるものの、2023年3月期でも121万4000着にとどまっており、最盛期の着数への回復を望むのは難しい状況だ。
一方で平均販売単価は、2021年3月期の2万5472円を底に、2023年3月期には2万8794円にV字回復(約13%増)。これは、2017年3月期の2万7498円をも上回る数字で、販売着数減を少なからず補っている。
この数字が示すのは、高価格品の需要増大だ。長谷部氏は「平均販売単価が上がっている要因は、オーダースーツの規模が少しずつ拡大していることにあると思う。加えて、働き方の多様化によるビジネスウエアの多様化にうまく対応できている結果ではないかと考えられる」と分析する。