しまむら鈴木誠社長が語る「3期連続増収増益」達成の打ち手とは
PBのプレミアムラインで、ヒット商品が続出
――付加価値を高めるMDの例を教えてください。
鈴木 体感温度が最大7℃下がるというデニムパンツ「素肌すずやかパンツ」などプライベートブランド(PB)「クロッシー」のプレミアムラインを拡充する一方、サプライヤーとの共同企画商品「JB(Joint Development Brand)」も磨きがかかってきました。海外の一定の生産ラインを予約で確保しているので、売れ筋を期中追加できるのも強みです。現在は20~30%が期中生産で、発注から30~40日で納品できます。売れ筋が最盛期に間に合うためプロパー消化率も高く、売上や利益率アップに貢献しています。
――4月に発表した長期経営計画で、2030年2月期までに営業利益率10%の実現を掲げました。
鈴木 セールの縮小、在庫コントロールなどで値引きロスを減らして、まず粗利益率35%(売上利益率で23年2月期34.08%)を達成します。一方で、販売管理費率も25%(同25.66%)に抑えます。ローコスト経営のため、広告のデジタル化で宣伝費を抑えたり、出店をより厳選して賃料を抑制したりと、さまざまな手立てを講じています。検品などを効率化するシステム開発も検討しています。
――高騰する人件費については。
鈴木 給与アップは経済界の総意であり、優秀な人材を確保するためにも、“賃上げ”は必要です。当社も正社員で22年に5.6%、23年には6.5%、パート社員で各年4.6%、5.2%という大幅な賃上げを行っています。
そうしたなか、人件費をどう抑えていくか。「店舗の無人化や自動化を進めるのか」とよく質問されますが、ファッション小売業であるしまむらでは、一定の接客は維持するべきです。そこで、人件費の約70%をパート社員の賃金が占めるなか、品出しや売場のメンテナンスの見直しなどで作業効率化を図り、必要人時を減らすことで、人件費の削減を進めていきます。