パート・アルバイトを短期間で即戦力にするためのトレーニング術

2019/11/04 06:47
    成田直人
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    あえて答えを教えない

     次に、「あえて教えない」教育についてもお教えします。これは、顧客満足度を高めるための接客術を教える上で効果的な方法です。

     例えば私が店頭でクライアントのスタッフと一緒に働いている時に、遠くでサポートを必要としているお客さまがいるとします。もちろん私がお客さまの元へ伺うのが一番なのですが、トレーナーなので一歩引いて、ある質問をスタッフに投げかけます。それは……

    「あのお客さまが、〇〇さん(スタッフ)がいることでハッピーになる方法を教えてもらえますか?」や、「あのお客さまが自分自身だとしたらどんなサポートをしてくれたら嬉しいかな?」というものです。

     例えば、「お客さまが手に1、2個商品を持っている」状況を想定してみてください。こんな時、多くの主任クラスのマネジャーは、こんな風にすぐ答えを言う癖があります。「ほら、ぼーっとしていないで、あのお客さまにカゴを持っていかないと!」

     仕事の手順を教える時は具体的に教えることが大事になりますが、顧客満足度を向上させる場合は新人スタッフに考えさせることが大事です。「オペレーションは具体的に、サービスは考えさせるように」と覚えましょう。この主任のように教えていたのでは、新人スタッフは自分で考える癖がなくなり、常に答えを求める“クレクレスタッフ”になってしまうのです。あえて答えを言わずに質問をすることで本人に考える癖を与えることが大切です。

     そして、答えが出なければ「カゴを持っていてもらえたら嬉しいんじゃないかな?」と言って、アシストをします。答えを言う前に必ず質問をする癖をつけることで、主任クラスのマネージャーがいなくても、スタッフ自らの意思でお客さまを喜ばせるための行動を選択できるようになります。ぜひあなたの店でも早速実践してみてください。

     次回は、高い能力を持ったスタッフが辞めない店舗のつくり方についてお話をします。ベテランや能力の高い人が辞めると店舗のサービスレベルは一気に傾きます。そうならないために店長(マネジャー)としてどんなことができるのか?をお話します。どうぞお楽しみに!

    なりた・なおと
    19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。

     

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