並松誠社長が語る、高質スーパー阪急オアシスが”標準化”を進める理由
大阪府に本部を置き、京阪神エリアで店舗展開する阪急オアシス。競争が激化する中、差別化をねらった品揃えの強化、生産性向上への取り組みなどにより、確実に利益を確保できる企業体質への転換を図る。「当社の勝ちパターンを構築したい」と話す並松誠社長に事業展望について聞いた。
過剰在庫を大幅に低減
──昨年4月の社長就任以降、どのような戦略のもと、施策を打ってきましたか。
並松 当社は長らく拡大路線を歩んできました。前社長、千野の強いリーダーシップのもと、M&A(吸収合併)を手掛ける一方、2009年7月からは食品スーパー(SM)の独自フォーマット「高質食品専門館」を積極的に出し、店舗網を大きく広げました。これにより当初250億円ほどだった売上高は、約17年の間に1200億円近くにまで伸びました。
そのような状態で経営のバトンを受け取りました。私の使命は、これまで築いてきた事業基盤をさらに強固なものにしたうえで、次なる成長を実現することだと認識しています。そのもと18年度は、「整える」をテーマに掲げ、それまでの事業を見直すところからスタートしました。
──具体的には何に取り組みましたか。
並松 着手したのは、グロサリーや日配品を中心に、約39億円あった過剰な在庫の低減です。商談のやり方を変えたほか、商品の絞り込みなどを順次進め、昨年9月の上期末時点で、30億円弱の水準にまで下げました。
同時に、商売の基本に立ち戻るため、展開および販売計画の立案、実施を徹底しました。3か月先に、どのような仮説、考え方のもと、何をいかに売るかを、販売促進部、商品部が私にプレゼンテーションする場を設け、店舗とのコミュニケーションも強化しています。これにより重点商品を中心に月、週単位で売り込むという姿勢の定着を図りました。
それらの施策を通じ、在庫が適正化されたほか、各店、従業員の意識も徐々に変化し、手応えを得ました。
──今後はどのような方針で、経営にあたりますか。
並松 経営環境は厳しさを増しています。競争は激化する一方、人材確保も難しく、またコスト高などの要因も重なり、売上を大きく伸ばすことはさらに難しくなるだろうと見ています。その中、当社がめざすのは利益を重視した経営です。
具体的には19年度を初年度とし3年を期間とする中期経営計画を実施します。「高利益体質への転換」を大きな目標に定め、品揃え、販促などを見直すほか、マーケット特性に応じた販売の強化、また業務標準化、省力化による生産性向上を進める考えです。テーマに設定するのは「攻める、変える、変わる」──。新たな施策にも積極的にチャレンジ、この3年間で阪急オアシスの勝ちパターンを構築したいと考えています。