再び成長路線へ! アマゾン一強時代を勝ち抜く、LOHACOの”共創”EC戦略とは!?
2019年6月19日から21日の3日間、東京ビッグサイトにて、業界日本最大の“マーケティングの総合展”と言われる第11回「販促・マーケティング総合展【夏】」が開催された。同展示会は6つの専門展で構成され、3日間の来場者数は4万名を超えた。出展内容およびセミナーを通じ、気になるテーマ、キーワードに関する動向をレポートする。第2回はLOHACOの成長戦略についてまとめた。
再び成長軌道に戻ったLOHACO
LOHACOはアスクルがヤフーの協力により運営する一般消費者向けの通販・ネットショッピングサイトだ。働く女性の日常をサポートするべく、食品、日用品、化粧品、医薬品など日常使いの商品を幅広く取り扱っている。
12年のLOHACO立ち上げから同ビジネスに関わっている、アスクルBtoCカンパニー取締役COOの吉岡 晃氏は、「Web販促EXPO」の特別講演において、「成長軌道に戻ったLOHACOをはじめとして、現在、ECは大きな構造変化を強いられている」と語っている。
ひとつは「データの独占」。購買データや顧客データが特定企業に独占され、本来均衡がとれなければいけない、生産者と販売者、買い手と売り手といった間でのパワーバランスが崩れてしまっている。次に「労働者不足」。ECの急成長をひとつの要因として、宅配クライシスが発生したが、当座の配送料の値上げで問題が解決するというものではなく、ドライバー不足、物流センターでの人手不足は構造的な問題である。3つ目が「環境問題」だ。CO2の排出規制、地球温暖化防止への取組み、脱プラスチックを抜きにして、あらゆる事業活動は考えられなくなっている。
こうした変化を踏まえ、LOHACOがいまめざしているのが“持続可能な共創eコマース”である。
そのもっともわかりやすい活動が「LOHACO ECマーケティングラボ」だ。メーカーとサプライヤー、LOHACOでECデータを共有し、相互に商品の開発、販促などに生かしていこうという試みで、14年に12社でスタートした。その後、この活動に賛同するメーカー、サプライヤー、ECサイト運営者は増え続けており、第6期にあたる19年度は140社、研究員約500名の規模に拡大している。
メーカーから卸、小売りを巻き込んだ研究会は、LOHACOに限らず、これまでにもいくつもあった。しかし、このLOHACOのラボが大きく違っているのは「EC」というチャネルの特性を意識して活動を進めている点だ。
吉岡氏は「これまでは、主としてリアル店舗の店頭で売るということをベースに考えられてきた。言い換えると店の売場という制約のなかでいかに売るかに腐心してきた」と言う。つまり、店頭で、いかに目立つか、存在感を出すか、お客の目に触れるようにするかであり、パッケージデザインをどうするか、棚取りやレイアウトをどう押さえるか、ということに主眼が置かれていた。
しかし、ECでの販売を前提に考えれば、サイト上に商品画像も、商品スペックもしっかりあるわけだから、商品の見た目が必要以上に目立つ必要はない。
「いかに生活シーンにピタッとくるか、使い勝手に特化してデザイン(見た目)を変えていけばいい。箱の入数、パッケージデザイン、容器の形状なども、顧客が本当に求めているものなのか、ゼロベースで考える。そそもそも、ドリンクの容量が350mlや500mlでなければならないという決まりもない」(同)
次のページは
共創Eコマースから誕生した、顧客ニーズに立った商品デザイン成功例