[AD]国産の牛乳・乳製品をこれからも安定供給し続けるために
適正な小売価格で、日本の酪農への応援を
フードシステム全体のために適正な牛乳小売価格を
フードシステム各段階の利益の均等化が重要
フードシステムとは、農場から、製造、卸、小売や外食産業を経て消費者に至るつながりの全体を指します。「これらは相互に関係しあっており、各段階それぞれの利益が均衡していることか必要で、それが成り立たないとシステム全体が維持できません。今、一番問題なのは、多くの農場段階において再生産ができるような状況ではなくなっていることです。生産にかかるコストに無駄が多いというのなら問題ですが、そうではありません。社会的に妥当な効率で生産を行っているのに、その生産費を回収できないのです」と立命館大学の新山陽子教授は語ります。
「農林水産業から生産物の供給ができなくなれば、食べ物がなくなり、フードシステムそのものが存続できません。いかにして各段階のバランスがとれた状態にしていくかが課題です」と警鐘を鳴らします。
牛乳の適正な価格とは
「特に畜産物においては、スーパーマーケットなど、フードシステムの川下の大手小売店のバイイングパワーが非常に強くなっています。牛乳などは特売の商材にされることも多く、適正価格を大きく下回る価格で販売されているのが現状です」と新山教授。
フードシステム各段階で適正な利益を得られる価格が適正な価格です。では牛乳の場合それはいくらなのでしょうか?
酪農経営を存続していくことができる生産者乳価に、フードシステム各段階での公正な利益を加えて算出した新山教授の試算によると、牛乳1リットルあたりの適正な小売価格は248~268円※となり、実際に店頭で販売されている各牛乳の価格は、多くがこれよりかなり下回っています。
「この数字を知れば、今までは何とも思わなかった牛乳1リットル200円以下という価格について、これでいいのかと考えるきっかけになるのではないでしょうか」と問題提起しました。
※税抜き/中小乳業の場合/2014年試算
低価格が続く牛乳
「消費者は、昨日買った、最近買った牛乳の価格の記憶によって作られる『内的参照価格』によって、牛乳の価格を、高い・安いと判断します。特売など目につく売り方の安い価格が、内的参照価格を下げていくのです」と新山教授。
また、同じ農産物であっても、たとえば野菜などは天候不順で価格が上昇することなど、消費者の理解も得やすいのですが、牛乳の場合、供給に変動が少ないため例えば、国際穀物市場や為替の影響で飼料価格が高騰し、酪農家の生産コストが上がる、といったことは消費者はなかなか理解することができないのです。
そういったこともあり、牛乳の小売価格は低く固定される傾向が続いています。
薄利多売からの脱却
また新山教授はこうも言います。
「『消費者の暮らしを応援するために安売りをする』という考え方もあります。しかし、消費者は、『価格』で『品質』を判断している側面もあるため、『安く買ったもの』の品質を低くとらえ、粗末に扱い、廃棄につながることになりはしないでしょうか。食品ロスが大きな問題となっている今、小売店が牛乳を大切に取り扱うことで、消費者の買い方に影響を与えていくことには、倫理的にも社会的意義があると思います」
また、同じ額の売上を上げるために、単価が高い商品のほうが利益が大きく、販売個数が少なくて済み、労働者の作業量も少なくできる、という効率の問題もあります。
「皆が安売り競争をしている中でそれを変えていくのは簡単ではありませんが、疑問を持って、現状とは違うビジネスモデルに変えていくことを、フードシステムの構成員として考えていただきたいと思います」