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ベイシア、衝撃の低価格!298円ミールキットは市場を開拓するか!?

徹底したローコスト運営によるエブリデー・ロープライスを強みとするベイシア(群馬県/橋本浩英社長)が、5月24日にオープンした「ベイシア三浦店」(神奈川県三浦市)で、オリジナルのミールキットシリーズ「O-easy su-easy(オイージー スイージー)」の実験販売をスタートした。ミールキットはその値段と日持ちの問題などから、小売側の期待を下回る市場の伸びが続いている。ベイシアの低価格ミールキットは、市場拡大の起爆剤となるか!?

ベイシアはオリジナルのミールキットシリーズ「O-easy su-easy」の実験販売をスタートした

低価格だけじゃない!
「健康」と「ボリューム」も訴求

 

 ベイシアのミールキットで、何より注目されるのが、その価格だ。同シリーズには、1人前と2人前の商品があり、1人前は298円(税抜、以下同)または398円、2人前は498円という低価格を実現しているのだ。

298円のミールキットは、Mizkanと共同でメニューを開発。ぽん酢を使用することでヘルシーなメニューに仕上げている

 詳しく商品を見ていくと、最安値の1人前・298円のミールキットは、「カリカリ豚肉と野菜のぽん酢炒め」「あっさり中華丼」「さっぱり焼きうどん」「和風あっさり焼きそば」など8SKU。カット済の青果と調味料がセットになっており、好みによって精肉などを買い足して調理する、というものだ。10~15分ほどの調理時間で完成する。
 調味料の1つには、食品メーカーのMizkan(愛知県)のぽん酢「味ぽん」が付いている。実は、298円の商品についてはベイシアとMizkanが共同でメニューを開発。ユニークなシリーズ名のうち「su-easy」は、ぽん酢の「酢」と「炊事」、そして英語で「簡単」を意味する「easy」を掛け合わせてつくられたものだ。ぽん酢を使用することで、ヘルシーなメニューに仕上げていることも他社にはない特徴と言える。

398円のミールキットは冷凍タイプ。冷蔵庫または流水で解凍すれば、あとはフライパンで5分ほど加熱するだけで食卓に出せる

 1人前・398円のミールキットは、冷凍タイプで、冷蔵庫または流水で解凍すれば、あとはフライパンで5分ほど加熱するだけで食卓に出せる。肉を使った「牛肉と玉ねぎのカルビ焼き」「黒酢酢豚」「鶏肉とトマトのガーリックチーズ」のほか、「魚介の野菜の麻婆炒め」「魚介のチリソース炒め」「いかと野菜の酢豚風炒め」などの魚を使用したメニューを合わせて10SKUほど販売している。

498円の商品はチルドタイプ。見た目にもボリューム感のある商品だ
カット済みの精肉と青果、調味料を、店内でプラスチックBOXに詰めて販売する

 2人前498円の商品は、チルドタイプで販売する。前述の2つは取引先メーカーが製造、供給するのに対して、カット済みの精肉と青果、調味料を、店内でプラスチックBOXに詰めて提供。見た目にもボリューム感のある商品だ。メニューは「本格、石焼風ビビンバ」「ガーリックバターチキン」「甘辛味噌仕立てホルモン炒め」の3SKUをラインアップする。調理時間は10~15分の設計になっている。

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ベイシアが低価格ミールキットを展開する本当の狙い!

生協やセブンも販売
1人前キットの可能性

 現在、ミールキットは2~3人前で、800円~1200円の価格帯の商品が中心だ。そうしたなか、ベイシアは分量を1人前とし、かつ最も安いもので298円という低価格を実現させている。
 すでに販売されている1人前のミールキットの代表例としては、生活協同組合のオリジナル商品で価格は398円、調理時間は7分ほどのフローズンタイプのものが挙げられる。
 また、コンビニエンスストアの「セブン-イレブン」も、宅配食事サービス「セブンミール」の商品として、主菜と副菜の2品が調理時間計20分でできるというチルドタイプのミールキットを510円~という価格で販売している。これら既存の商品と比較しても、ベイシアのミールキットは、精肉は別途買い足すタイプのものとは言え、その低価格が際立っている。
 ミールキットは市場が拡大しているとは言え、未だ爆発的な普及に至っていない。その理由の1つとして、食材がセットになっているがゆえに1品当たりの価格が高いということが考えられる。そんななか1人前で低価格なミールキットであれば、試しに購入する人が増え、ミールキット利用者の裾野を広げられる可能性もある。

平台でコーナー化するほか、試食販売や生鮮各部門での関連陳列も積極的に行い認知度を高める

ベイシアの本当のねらいとは

 ベイシアが同シリーズでターゲットとするのは、若い世代や高齢の単身者だ。「料理のつくり方がわからない」「料理をする時間がない」「1人分だけのために食材を買い揃えるのが勿体ない」という潜在的な需要を取り込む考えだ。
 同時に、ミールキットを窓口に最終的には食品スーパーで食材を購入する人を増やしたいねらいがあるという。「ミールキットを通じて、料理は実は簡単にできるということを知ってもらい、将来的には料理に必要な生鮮食品や調味料をベイシアで買い揃えるようになってもらいたい」(同社広報)。
 同シリーズは今後、全店で導入予定で、平台でコーナー化するだけでなく、試食販売や生鮮各部門での関連陳列なども積極的に行い、認知度を高めていく方針だ。ベイシアが開発した低価格ミールキットは消費者に浸透するのか、注目だ。