イケア、急成長するフード事業の秘密!社内で「もっともソファが売れる場所」と呼ばれるワケ
スウェーデンの家具大手イケアでは、スウェーデンレストラン、スウェーデンビストロ、スウェーデンフードマーケットといったフード事業を展開しているが、同社では、このフード事業を“ベストソファセラー(ソファを一番売る場所)”と呼んでいる。特に近年の伸びはめざましく、今後は一つの柱として位置づけられているフード事業について、イケア・ジャパン(千葉県/ペトラ・ファーレCEO)のカントリーフードマネジャー 佐川季由氏に話を聞いた。
おなかがすくと人は帰ってしまう
家具売場に併設されたレストランや出口付近にあるビストロは、「買物の合間におなかを満たす場所」だ。しかしそこに設えられた家具や調度品類はすべてイケア製品ということもあり、単に寛ぐための場所というだけにとどまらず、「このソファ、座り心地がいいね」とか「さっき売場で試したものもよかったけど」などとイケア製品を体験しながら、最終的に何を購入するかを決めるきっかけになる場所になっている。そうしたことから、イケアではフード事業を“ベストソファセラー”と呼ぶ。
イケアでは1号店(スウェーデン・エルムフルト)のオープン翌年(1959年)にスウェーデンレストランを店内に設けた。
イケアの創業者イングヴァル・カンプラードは「おなかがすいている人とビジネスをするのは難しい」と語っている。「何を買おうか、店内で悩んでいるうちに、お客さまがおなかをすかせると、ランチを食べに外に出て、そして空腹を満たすとイケアに来ていたことも忘れて、そのまま帰ってしまう」こうした苦い経験を何度も味わっていたからだ。
そこで「店内に空腹を満たし、休憩をとれる場所をつくってしまえばいいじゃないか」と考えたという。これがイケアのフード事業の始まりだ。
現在、フード事業の全社に占める売上比率は、グローバルベースで6%程度の規模だが、この5年でフード事業は大きく伸びてきており、ここ数年は、一つの柱として事業の拡大が期待されている。