ホームセンター大手のLIXILビバ(埼玉県/渡邉修社長)は5月7日、2019年3月期の決算を発表した。売上高は1809億円(対前期比1.7%増)、営業利益は108億円(同30.9%)の増収増益となった。新規株式公開(IPO)から2年、LIXILビバはどう変わったのか。新たに発表した中期経営計画から読み解く。
新・3カ年中期経営計画を発表
3年で売上高25%アップを目標に
「3年で成果を出します」
LIXILビバのIPOの際、何年で結果を出すのかと質問された際、渡邉社長はこのように答えたという。
実際、同社はIPOから2年がたち、3年目を迎えている。LIXILビバの2019年3月期の業績を見ると、14期連続増収増益で営業利益も過去最高益を更新。この数字を見ると順調に推移しているように見えるが、渡邉社長は危機感を募らせる。
「これまでホームセンター業界は市場規模がほぼ横ばいというトレンドが続いてきました。今後も成長が難しく、競争激化が予想される市場です。そのため、もっと大きな事業基盤をつくる必要があります」(渡邉社長)。
そのため、今後は成長速度を一気に加速させる。
「この2年間は今後どのように成長させていくかを検討する準備期間でした。今期から始まる3カ年中期経営計画では、大きな成長をテーマに積極的に投資していきたいと考えています」と渡邉社長は力を込めた。
具体的な数値目標としては、過去3カ年の売上高の年平均成長率は1.6%だったのに対し、今期以降3カ年で同8%を掲げる。営業利益については、今期(20年3月期)は先行投資のため減益計画だが、来期、来々期でそれぞれ5%引き上げる計画だ。
3カ年で売上高を25.9%アップさせるという意欲的な計画に見えるが、渡邉社長は「新店の寄与が大きく、3カ年分の出店計画はほぼ確定しているため、下振れするリスクは少ない」と計画達成に自信を見せた。
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積極出店の核となる“ブルーオーシャンなモール”
驚異の空所率0.8%!
新たな成長源の「生活密着型」モール
LIXILビバは3カ年で毎年7店舗、合計21店舗を出店する計画だ。この出店計画の特徴は、すべて大型店であることと、モールが多いことが挙げられる。なんと、21店舗中、10店舗がモールなのだ。
同社は、大型フォーマットの「スーパービバホーム(SVH)」とSVHを核とするホームスタイルショッピングモール「ビバモール」の出店を強化している。圧倒的な品揃えとサービスを拡充することで、一般利用者だけでなく、プロ需要の拡大をめざしている。
とくに注目したいのが、モール事業だ。
「ビバモールは、既存のモールにはない領域です。今、小売業界ではモール間競争が激化していると言われているなか、14モールを運営しています。某小売大手のモールがわれわれの隣にきても、ちっとも売上が落ちませんでした」(渡邉社長)。
このように渡邉社長はビバモールが既存のモールと異なるポジショニングであることを強調する。ファッション型でも、流行型でもない、「生活密着型」であるという。そのポジショニングが成功しているためか、KPIとしている空所率(テナントの空き率)は0.8%と驚異的に低い数字を叩き出している。
さらに、ビバモールは売上だけでなく、営業利益にも大きく貢献していると強調。
「モールはオープンしてすぐテナント収入が入るため、初年度から黒字になります。2年目以降は中核のSVHも黒字化するため、(営業)利益率も高いことが特徴です。こういったスケールのモールが年間3〜4店舗できます。これはインパクトが大きいです」(渡邉社長)。
IPOから2年、LIXILビバは“宣言どおり”、上場で得た資金を積極投資に活用し、今期から成長速度を加速させる。