改元前の“駆け込み需要”となるか
モバイル決済キャンペーン合戦が過熱!
令和の時代のスタートまで、あと約1週間。新元号にかこつけた販促を実施する動きが小売各社のあいだで見られるなか、各モバイル決済サービスのキャンペーン合戦も盛り上がりを見せている。小売各社は改元前の“駆け込み需要”を得ることができるか。主要プレイヤーのキャンペーン策をおさらいしていこう。
「100億円キャンペーン」が継続中!
「還元キャンペーン」という言葉からまず思い浮かぶのは、昨年末の「100億円キャンペーン」で話題を集めたPayPay(東京都)だろう。
PayPayでは、2019月2日から続く、「第2弾100億円キャンペーン」を実施中だ(5月31日まで)。
決済金額の最大20%が還元される同キャンペーン。支払い1回当たりの残高付与の上限額は1000円とキャンペーン第1弾よりも控えめだが、100億円という膨大な原資を武器に、コンビニエンスストアやドラッグストアなどにおける少額決済での利用を促していくねらいだ。
なお、PayPayはディスカウント型食品スーパーのロピア(神奈川県)がすでに導入しているほか、19年4月にはイオン(千葉県)グループが関東や山梨県の一部でPayPay決済に対応すると発表。今月17日から「イオン」「イオンスタイル」合計32店舗でPayPay決済に対応しはじめており、25日からはイオン銀行からPayPayに残高を入金できるようにもなる。
“ソフトバンク流”の圧倒的な営業力で食品スーパーとも急接近するPayPay。その動向には今後も要注目だ。
LINE Pay が“平成最後”の還元策を展開!
PayPayと並んで、積極的に還元キャンペーンを打ち出しているのが、LINE Pay(東京都)だ。
LINE Payは19年4月、買物金額の最大20%を還元するキャンペーン「平成最後の超Payトク祭」を開催すると発表した。かねてより、20%還元策を展開してきた同社。今回のキャンペーンにおける還元上限は最大5000円相当と、PayPayを上回る額に設定している。
さらに、同キャンペーンを発表した同日、LINE Payは決済機能に特化した専用アプリをローンチした(17日にAndroid版、23日にiOS版をリリース)。前述のキャンペーン期間中は、この専用アプリを利用すれば、還元額の上限が最大1万円にアップするキャンペーンも実施する。
ここにきて、大胆な還元策に打って出たLINE Pay。現在の国内ユーザー数は3200万人で、利用可能店舗数は133万カ所を超える。2019年の目標に据えるのは、全世界の月間アクティブユーザー数1000万人の達成だ。
同キャンペーンの実施期間は4月30日の23時59分まで。加盟店としては、改元前の“駆け込み需要”を期待したいところだ。
d払いも“20%還元”に参戦、沈黙保つ楽天ペイ
強固な顧客基盤を持ち、専門家からの評価も高い「d払い」もキャンペーン施策を展開する。
d払いを展開するNTTドコモ(東京都)は、決済金額の20%相当の「dポイント」を付与するキャンペーン「dポイントスーパーチャンス」を4月24日から5月7日まで実施すると発表した。
還元されるポイントの上限は1万ポイントと、LINE Payと同程度の設定で、d払い対応店舗だけでなく、非接触決済サービス「iD」加盟店での利用も対象となる。
これまでも、NTTドコモはポイント還元率アップのキャンペーンを実施してきたが、dカードでのドコモ料金支払いや、携帯関連サービスの契約を条件に設定するなど、ドコモユーザーであることを前提としたキャンペーンであり、利用者にとっては複雑だった。今回のキャンペーンは、d払いユーザーであれば、事前エントリーのみで参加することができるため、新規ユーザーの獲得に期待がかかる。
各社が還元策を打ち出す一方で、派手なキャンペーンを展開せず、沈黙を保っているのが楽天ペイである。
楽天ペイも19年3月から付与ポイントが最大40倍になるキャンペーンを展開しているものの、適用には楽天ペイに連携させるクレジットカードを「楽天カード」にする必要があるなど、利用ハードルは高い。新規ユーザー獲得というよりも、既存ユーザーの活性化をねらったキャンペーンとなっている。
各社のキャンペーン合戦が過熱するなか、楽天はどう動くか。この先、PayPayのような大規模還元策を発表する可能性もゼロではない。
19年4月12日に経済産業省が増税にあわせたポイント還元に参加するキャッシュレス事業者のリストを公表するなど、キャッシュレス化の機運はピークを迎えつつある。
こうした動きと連動するように、サービス事業者各社が還元キャンペーンを展開しているものの、そのほとんどはユーザー(消費者)への還元がメーンであり、加盟店に向けた大規模な施策はあまり見られていない。「利用する側」だけでなく、「導入する側」にも大きなメリットが得られるキャンペーンが待たれるところだ。
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