アダストリアに見るサステナブルファッションの現在地と選ばれるアパレル企業の未来像
施策は労働環境の改革まで
サステナビリティの推進に妥協なく取り組むアダストリアは、労働環境の面からも持続可能性を追求。2025年度までに女性の上級管理職比率を30%、女性管理職比率を45%以上に引き上げることを目指すほか、商業施設の新静岡セノバと協働し、実験的に営業時間のフレックスタイム制度や店舗別休業日を導入するなど、店舗で働く従業員の働き方改革にも着手し、販売員の働きがいや魅力の向上にまで対策を講じている。
やるべきことは山積しているものの、同社は着々とサステナビリティにおける各重点課題の目標達成に向けステップを歩む。そこに課題はないのか。藤本氏は「会社としては、随時、報告書やホームページを通じて進捗をオープンにしながら、定めた目標の達成へ向かっていく。ただ、CO2の削減については、個社だけではどうしても限界がある」と明かす。
業界共同による取り組みも
アダストリアも加盟する、2021年に設立された連合組織「ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)」の設計は、そうした課題を打開する行政も巻き込んだアクションだ。大手を含む、ファッション・繊維企業が参画(会員企業19社、賛助会員25社)し、個社だけでは解決が難しい課題に対し、共同で向き合いながら解決策を探っている。
具体的には、統一の基準による単純焼却や埋め立ての可視化、回収、循環システムの試行、「カーボンニュートラル」に対する意義の理解醸成などだ。個社だけでは実行や浸透が難しい取り組みを共同で行うことで、より社会全体に影響が広がるよう、消費者や行政にも積極的に働きかけていく。