顧客満足度と収益が連動しない理由!ユニクロ出身社長が提供、顧客体験マネジメントサービスとは
真のCX向上の鍵を握るNPSとは
キーとなるのは、NPS(ネットプロモータスコア)と呼ばれる指標だ。「あなたは、当社の商品(またはサービス)を、親しい友人や家族にどの程度おすすめしたいと思いますか?」というアンケートをみたことがあるかもしれない。人に紹介したいと思えるほど、製品やサービスに満足したかをアンケート調査で測定することで、可視化しづらい「心の満足度」を見極めるのだ。
考案したのはベイン・アンド・カンパニーのフレッド・ライクヘルド氏。収益性と連動するロイヤルティ計測のための指標として、同氏が研究を続け、開発した。2003年に開発されて以降、アップルやグーグル、アマゾンなどをはじめ、世界中の先進企業で活用されており、日本でも浸透しつつある。
同社がコンサルティング会社と共同で、自動車メーカー/ブランドを対象にした分析でも、NPSと国内販売台数の年平均成長率に強い相関があることが示されている。
また、健康食品通販大手のECサイトにおける調査でも、NPSが高いサイトほど、1年以上の継続利用の割合が高いことがわかっている。
収益に連動するCX向上の勘所
エモーションテックは、NPSを指標に採用した調査・分析サービスを創業以来400社以上に導入しており、そのうち約4割が小売企業だ。サポートを通じ、さまざまな実情を目にしてきた今西氏は、収益に連動するCX向上の勘所を次のように説明する。
「いろいろな企業のサポートをしていて感じるのは、商品をお客に届けるまでの体験、つまり、接客やその商品が探しやすいかといったソフト面が、CXで重要だということ。逆にいえば、どれだけ商品が良くても最終的にスタッフの対応が悪ければ、トータルの体験として大きなマイナスイメージを与えてしまうということです」
「効果がありそうな施策」を可視化する効用
あるフィットネスクラブの事例では、CX調査で更衣室の汚さが課題としてあぶり出された。費用面の問題から、改装はできなかったため、清掃頻度を増やす施策を実施。加えて、そのことをあえて店長の署名入りの張り紙に記載し、更衣室に貼付。その結果、顧客からも共感され、CXの向上につながったという。
CXの観点を応用し、物理的なハンデをカバーすることも可能という。例えば競合に立地で劣っているとしよう。その場合、「遠くまで足を運んでいただきありがとうございます」といった張り紙や店内アナウンス等で、顧客に伝達してしまう。それによって共感を得ることで、「立地の悪さ」というハンデを逆に「気遣いの良さ」に転換し、顧客体験の向上につなげるのだ。
こうした施策は、感覚的に行うだけでは「無意味だ」と反対意見も出るだろう。だが、データをもとにPDCAを回すことで、成果が明確になる。「なんとなく良さそうだから」と行っていたような施策が、成果としてデータで可視化されれば、従業員のモチベーション向上にもつながる。そうなれば、その後の打ち手にもよりポジティブに取り組め、CX改善が能動的に推進される機運が醸成される。こうした顧客満足の計測から分析、そして改善までのCXのトータルマネジメントサービスをエモーションテックは行っている。