全面安売り戦争は勝者なき不毛な戦い、これからは知恵の勝負になる=全日本食品 齋藤充弘 社長
──チラシ特売中心ですと、実はチェリーピッカーに販促費を多く費やしていることになりますから、ちゃんと自分の店でたくさん買っていただいている人に適正配分するねらいがあるわけですね。
齋藤 ムダ弾が多すぎたのだとは思っています。ただチェリーピッカーと聞くと、ものすごく多そうに思えるかもしれませんが、実際にデータを調べると、それほど多 いわけではありません。よい顧客も時としてチェリーピッカーに変わります。だから、毎日来てくれるお客さまの中には、値段を優先して買うお客さまと、そう ではなく、なくなればとにかく買っていくお客さまと2種類いると思えばよいのです。
この「ZFSPサービス」を始めるには、ネットワーク型のPOS端末・VC-POSを導入する必要があるのですが、これを今後3年間かけて全加盟店に導入していきます。すでに全加盟店1800店舗から、申込書を受け取っています。
──加盟店にとって相当大きな武器になりますね。
齋藤 ええ、そうなります。来店されたお客さまに対して、「あなたがいつも買っているこの牛乳なら、いつでもあなたの望む値段であなたにだけ売ってさしあげましょう」というサービスですから、お客さまはわざわざチラシをチェックして来店する必要がなくなります。
実はFSPは、今買っていただいているものを分析するというよりも、分析を日常的に積み重ねることで、お客さまの行動に何か悪い変化が起こったときに、手を打ってこちらに向けさせるのが本来の手法なのです。
それから、「この顧客はもっと購買が上がるはずだ」とかさらに踏み込んだ施策を打つための手法なのです。この分野で先行しているイギリスのテスコ の場合は、800万通りのクーポンを出していると聞きます。今後は、そのようなデータ分析の積み重ねをどうやっていくかが課題になるということですね。
──ゆくゆくはそういう方向に進むわけですか?
齋藤 ただ、そこまでは、われわれだけでは無理だと思っています。だから、学者の方にお願いして産学協同で行いたいと考えています。その分野の学者の中では、いちばん優れているだろうと私が思っている人にお願いしてあります。
──最後に、今全国にプロセスセンターの建築を急いでいますが、このねらいはどこにあるのかを教えてください。
齋藤 生鮮食品については、商品を加工したり、パックしたりする作業で加盟店が手一杯になっています。そのため、もっとも大事な売場づくり、お客さまにどうやっ て売っていくかということに十分力を注げる状況になっていませんでした。まずはその課題を解消して、売ることに注力できる態勢を構築したい。そして、その 売場づくりを徹底させるために、「あなたの場合はこういう商品をこういう品揃えでこの値段で売りなさい」という企画提案付きの商品供給を、この生鮮加工セ ンターでやろうと思っています。
大体30~50店単位で1つのセンターを建てますから、最終的には全国で50カ所ぐらいつくる計画です。これはいわゆるフロントセンターですか ら、将来的には別途で集中加工センターを何県かごとに1カ所つくって、そこで1次加工をして、次に今回つくるフロントセンターで2次加工して店に配送する というプロセスにしようと考えています。