価値商品を開発、売り込むことで1点単価の引き上げを実現=オークワ 福西拓也 社長兼COO
──具体的には、どのような取り組みを行っているのですか?
福西 2S(整理・整頓)と多能工化です。2Sの徹底のために、余分なモノをすべて捨てたところ、モノを探す手間などムダな時間が劇的に削減されました。
多能工化については、さまざまな部門で進めています。たとえば、現在7店舗で実験的に進めていることは、生鮮食品以外の部門を1人のチーフが兼任するという仕組みです。従来は、各部門チーフの下に、パートさんがいて、それぞれ部門内の作業をしていましたが、それを3部門横断型の人員配置に変えました。部門によって商品の入荷時間、品出し時間は異なりますから、効率的に人時を使えるようになりました。
まだスタートしたばかりですから、本格的な成果が出るのはこれからです。
好調SuCが次期主力フォーマット!
──さて、業態別の売上動向を見ていくととくに「スーパーセンター(SuC)」が好調です。次期主力フォーマットと位置づけているのですか?
福西 当社としては次期主力フォーマットと考え、順調に出店を重ねており、SuC10店舗、300億円体制が見えてきました。今後、東海圏がメーンの出店エリアになってきます。
──ルーラルニーズの一切合切を取り込んでいくのがSuCの業態特性です。和歌山県という限られた商圏人口の中で利益を出せるフォーマットとして磨き上げた、その自信が見られますね。
福西 ええ。たとえばSuCオークワ南紀店は、人口わずか3万人のエリアで売場面積4000坪の広さがありながら成功しています。和歌山県内の他のSuCもすべて利益に貢献していますし、岐阜県1号店のSuC養老店も、足元商圏がとても薄い中で順調に推移しています。
当社は損益分岐点を低く抑えられる独自のノウハウを、これからも構築していきます。
──好調なSuC業態の一方で、DS業態の「プライスカット」が苦戦しています。今どきの消費動向にマッチする業態と感じていただけに、少し意外な印象を持っています。
福西 「プライスカット」の10年8月期既存店売上高は、対前期比6.4%減と低迷しました。
「プライスカット」が苦戦する理由は、買物する楽しみがないからだと思っています。同じディスカウント販売をする「SuC」がなぜ好調かといえば、広い売場を活用して、売場随所でさまざまな提案を打ち出しているからです。
「プライスカット」の場合は、わずか150~300坪ですから、そういったことができません。それでも、当社が打ち出す価格に驚きや感動があったときは優位性がありました。ここにきて競合店も価格を下げていますから、その優位性がなくなったということです。