2011年3月さえきHD始動!3~4年後、1000億円体制をめざす=さえき 佐伯行彦 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──お客さまだけでなく、従業員にも積極的に試食を促しています。

佐伯 従業員が試食をすることは、最大の従業員教育であり、販売のプロを養成するうえで欠かせないと考えているからです。

 今SM各社の現場には、販売のプロがどんどんいなくなっています。そのプロを養成する第一歩は、従業員が食べて、その商品について学ぶことなのです。たとえば、売っている側が食べたことがなかったら、せっかくお客さまに「これおいしい?」と尋ねられても「おいしいですよ」と瞬時に応えられません。

 逆に、商品の特性や味、料理法などもその場でお伝えできたら、お客さまは喜んでその商品を買うようになるでしょう。そのような販売のプロを養成できているSMは少ないですから、当社が徹底的に行うことで、競合他社とはものすごい差別化になると考えています。

──売る仕掛けづくりと、販売のプロを育成することで、現場力を高めるということですね。

佐伯 ええ。ただ空腹を満たすためだけの食ではなく、エンターテインメント性を感じられる、食を楽しむ提案を売場で実現していきたいです。

 当社では今年、食を楽しむ売場づくりのキーワードとして「祭り」を挙げています。たとえば2月の節分の際のセールスプロモーションでは、「節分祭」と銘打って売場づくりを行いました。それを基に、どんなイベントを行うのか、どんな商品や食べ方を提案するのか、というように具体的な売場づくりの提案に落とし込んでいくわけです。

 売場に活気をつくりだし、つねにお客さまにエンターテインメント性を感じていただくためには、このような行事や祭りをいくつつくれるかが勝負です。もちろん、こうしたご時世ですから、地域の相場に価格を合わせながら、その店だけの独自性を提案するというのが基本的な考え方です。

11年3月、さえきホールディングス誕生!

──さて、今年3月よりホールディングス(HD)体制に移行します。

佐伯 食品小売業はチェーンの売上規模が大きくなればなるほど、経営状態がおかしくなるという歴史を繰り返してきました。なぜそうなるかと言えば、食品小売業は地域ごとの食文化や生活に深く根差した地場産業であるにもかかわらず、大手チェーンは本部で「右向け右」の大号令のもとに、全国統一のMD(商品政策)を仕掛けていたからです。地域によって食べるものも食べ方も風習もまったく異なります。それにきめ細かく対応できなければ、その土地のお客さまにご支持いただけるはずがないのです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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