内部で改善・改革!中高年層の需要を深掘りして成長図る=エコス平 邦雄 社長
──着々と改善が進んでいるようですね。ほかにMD面の課題はありますか。
平 「地域密着」の商品をどれだけ品揃えできるかが課題です。
たとえば、福島県の店舗を11年10月に改装しましたが、売上が改装前と比べて大幅に伸びました。生鮮食品や日配品、酒類など、地元商品を多く導入し、「地域密着」を徹底した結果です。
「地域密着」とは何かと言えば、そのエリアで支持されている商品を品揃えするということです。地域のお客さまが求めている商品をしっかり導入できるようにすること。これが当面の課題です。
──これまでも「地域密着」に取り組んできたのではないのですか?
平 そうですが、まだまだ不十分だということです。地域のことをいちばん理解している店舗からの要望に、商品部や営業本部が対応できていない部分がまだまだ多くあります。今後、これは改善しなければなりません。
当社の場合、競合店と戦う以前に、内部で改善・改革できる部分がまだまだ残されていると考えています。それを売上と利益に変えていきたい。
新規出店とM&Aで成長! 中高年の需要を深掘り
──13年2月期を初年度とする中期経営3カ年計画(以下、中計)を策定しました。
平 はい。計画最終年である15年2月期にグループ連結で売上高1200億円、エコス単体で売上高800億円、売上高経常利益率3%を達成することが目標です。
──エコスグループの11年2月期の連結売上高は1068億円、エコス単体の売上高は686億円なので、相当ハードルの高い目標です。
平 そうなります。食品小売業界は年々競争環境が厳しさを増し、既存店の売上を大きく伸ばすことができる時代ではありません。したがって企業規模を大きくするためには、新規出店することとM&A(合併・買収)を平行して進めるべきだと考えています。
当社は現状の商勢圏を拡大することは考えていません。福島、茨城、栃木、埼玉、東京、千葉、神奈川という1都6県の商勢圏内の店舗密度を高めつつ、需要を深掘りしていきます。
新規出店に関しては、売場面積300坪と600~700坪の2つのサイズを想定しています。都心部であれば売場面積が150坪程度でも新規に出店したいと考えています。スクラップ&ビルド(S&B)が遅れていますので、13年2月期以降、毎年リプレイスを含めて3~6店舗を新規出店し、不振店を1~2店舗ずつ閉める計画です。
──M&Aも視野に入っている。
平 はい。たとえば首都圏には営業譲渡を模索している企業が多いと聞いています。そういった企業とうまく手を結べればと考えています。
エコスグループは現在102店舗を展開していますが、そのうちの大半はM&Aやほかの企業から譲り受けた店舗です。M&Aに関してはいいお話があれば前向きに検討したいと考えています。
──需要の深掘りに関してはどのような施策を考えていますか?
平 中高年向けの売場づくりです。12年からは団塊の世代(1947年から49年の間に生まれた世代)が65歳を迎え、高齢者の消費ボリュームが大きくなります。
当社の顧客の6割以上は50歳より上の中高年層になります。
高齢者をターゲットにした当社の店舗は、比較的売場面積が小さく、限られた商圏内で商売をしています。小商圏ということは、お客さまのすぐ近くに店舗があるということですので、お客さまのニーズに応えることができる商品をしっかり品揃えすれば、需要を深掘りすることができると考えられます。
具体的には「少量」「簡便」「即食」「健康」をキーワードにした商品を増やしています。たとえば鮮魚では、刺身の個食パックに注力していますし、骨取り魚や焼き魚、煮魚などの半調理品や調理加工済み商品の販売に力を入れていきます。精肉では低脂肪肉のコーナーを一部の店舗に展開していますし、グロサリーも「減塩」「無添加」など健康に配慮した商品を増やしていきます。まずは1品1品の商品について、商圏の需要に沿うようしっかり品揃えしたいと考えています。