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コンビニ事業がコロナ前を上回り好調のセブン&アイ、イトーヨーカ堂とそごう・西武の行方は

セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)が20232月期上期決算を発表した。国内外のコンビニエンスストア(CVS)事業が好調に推移したことから、グループ全体では大幅な増収増益となったものの、構造改革中のイトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)は苦戦するなど、業態によって明暗が分かれた。
(*:今期から「収益認識に関する会計基準」等適用のため、営業収益の増減は旧基準の前年同期との比較)

国内外CVSが好調

 セブン&アイの232月期上期連結決算は、営業収益56515億円(対前年同期比55.0%*)、営業利益2347億円(同26.1%増)、経常利益2197億円(同26.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1360億円(同27.8%増)の大幅な増収増益だった。

 好業績の主な要因は国内外のCVS事業の回復だ。セブン‐イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長)の既存店売上高は同2.7%増。客数が同0.3%減だったものの客単価は同3.0%増と伸長した。既存店売上高は202月期と比較しても1.1%増と、コロナ前の水準をクリアするまでに回復している。「カレーフェス」などのフェアを定期的に開催したことや、プライベート・ブランド「セブンプレミアム」のリニューアル・販促強化、「ダイソー」商品など日用品の品揃え拡大が売上伸長につながった。

CVS事業の既存店売上高はコロナ前の水準をクリアした

 海外CVS事業の7-Eleven, Inc.も好調だった。インフレ等の影響で販管費が上昇した一方、スピードウェイ(Speedway)との統合効果やガソリンの粗利伸長により大幅増益となった。また、既存店売上高は対前年同期比4.9%増、202月期比で12.3%増と、セブン‐イレブン・ジャパンと同じくコロナ前の業績を上回った。「フレッシュフード」や「オリジナル飲料」などの差別化商品が売上増につながっている。今後はレストラン事業やデリバリー事業など新たなビジネスモデルも積極的に取り組んでいく。

 

生産性向上で再起を図るイトーヨーカ堂

 国内外のCVSが好調な一方、苦戦したのが「スーパーストア」事業だ。同事業のうち、総合スーパーを展開するイトーヨーカ堂の営業収益は3585億円(対前年同期比31.8%*<旧基準では0.1%減>)、営業損益は16億円の赤字だった。

 構造改革を実施した既存店は売上・客数ともに回復傾向にあるものの、水道光熱費の大幅な上昇を吸収することができず、減益となった。今後は来期以降のネットスーパーのセンター配送への移行やセントラルキッチン、プロセスセンターの活用などにより店舗作業の生産性向上に取り組み、再成長を図る。また、セブン‐イレブン・ジャパンの人気商品「カップデリ」を導入したり、宅配で協業したりするなど、商品やサービス運営面での連携も進めていく考えだ。

22年7月に改装したイトーヨーカドー幕張店

 「百貨店・専門店事業」の営業収益は2255億円(同32.2%*<旧基準では12.4%増>)、営業利益は46500万円(前年同期は77億円の赤字)だった。売却が取り沙汰されているそごう・西武(東京都/林拓二社長)について、セブン&アイの井阪社長は「今の段階では何も決定していない」としながらも、「(そごう・西武の)事業の継続と再成長のためによい提案をいただけるパートナー候補と話し合いをしている」とコメントした。

 上期のCVS事業の好調を受け、セブン&アイは通期の計画を上方修正した。営業収益116460億円(対前期比33.1%*)、営業利益4770億円(同23.0%増)、経常利益4424億円(同23.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2640億円(同25.3%増)をめざす。CVS事業は好調だが、苦境にあるイトーヨーカ堂と売却検討中のそごう・西武はどうなるのか――。その行方に注目が集まる。