コンビニ事業がコロナ前を上回り好調のセブン&アイ、イトーヨーカ堂とそごう・西武の行方は

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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生産性向上で再起を図るイトーヨーカ堂

 国内外のCVSが好調な一方、苦戦したのが「スーパーストア」事業だ。同事業のうち、総合スーパーを展開するイトーヨーカ堂の営業収益は3585億円(対前年同期比31.8%*<旧基準では0.1%減>)、営業損益は16億円の赤字だった。

 構造改革を実施した既存店は売上・客数ともに回復傾向にあるものの、水道光熱費の大幅な上昇を吸収することができず、減益となった。今後は来期以降のネットスーパーのセンター配送への移行やセントラルキッチン、プロセスセンターの活用などにより店舗作業の生産性向上に取り組み、再成長を図る。また、セブン‐イレブン・ジャパンの人気商品「カップデリ」を導入したり、宅配で協業したりするなど、商品やサービス運営面での連携も進めていく考えだ。

イトーヨーカドー幕張店
22年7月に改装したイトーヨーカドー幕張店

 「百貨店・専門店事業」の営業収益は2255億円(同32.2%*<旧基準では12.4%増>)、営業利益は46500万円(前年同期は77億円の赤字)だった。売却が取り沙汰されているそごう・西武(東京都/林拓二社長)について、セブン&アイの井阪社長は「今の段階では何も決定していない」としながらも、「(そごう・西武の)事業の継続と再成長のためによい提案をいただけるパートナー候補と話し合いをしている」とコメントした。

 上期のCVS事業の好調を受け、セブン&アイは通期の計画を上方修正した。営業収益116460億円(対前期比33.1%*)、営業利益4770億円(同23.0%増)、経常利益4424億円(同23.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2640億円(同25.3%増)をめざす。CVS事業は好調だが、苦境にあるイトーヨーカ堂と売却検討中のそごう・西武はどうなるのか――。その行方に注目が集まる。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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