ショッピングセンター(SC)のテナント構成が変化している。特にサービス系テナントが25%まで増加し(2021年SC協会調べ)、12%の衣料品を大きく上回る。
その理由は、高齢化によるニーズの変化や物販のECへの移行によるものだが、この変化をSCはどのように受け止め、対峙すれば良いのか。第44~45回で説明したサービス業の特性を下に、今回はSC経営の目指すべき方向を解説する。
テナント構成の変化とサービスマーケティングの「7P」
サービス系テナントの増加が顕著である一方、アパレル比率は継続して低下し、SCが提供する顧客価値も変わっている(図表1)。
サービス業のマーケティングは、その特徴である①無形性、②不可分性(生産と消費の同時性)、③非貯蔵性(消滅性)、④品質の非均一性(異質性)、⑤需要の変動性、⑥非可逆性を下に①製品(Product)、②価格(Price)、③流通・チャネル(Place)、④プロモーション(Promotion)の4Pに加え、⑤参加者(participants)や人(people)、⑥物的な環境(physical evidence)、⑦サービス組み立てのプロセス(process of service assembly)の3つが加わり7Pとなる。
SCが行うマーケティング活動とは何か
では、このサービスマーケティングとSC運営はどのような関係性を持つのか。SCでは、テナントの営業サポートのため、安全管理、施設管理、現金管理、販売促進、スタッフ研修など日本ならではの運営管理がどの施設でも程度の差はあれ行われる。
そこでは「集客しテナントの販売機会を作り、その売上から賃料を得るビジネス」を目的としたマーケティング活動を行われているが、サービス系テナントの増加はこれらに影響を及ぼすことになる。
SCが行うマーケティングは、サービス系テナントが行う広告宣伝やイベントとの連携も重要となる。また、サービス業は店舗スタッフの力量によって営業成績が左右されるためテナント本部の教育訓練やメンタル管理が重要であり、仮に不足があれば本部と協議し、時には店舗スタッフの悩みの代弁者として本部と向き合うことにもなる。
当然、SCの活動として、最終消費者への広告宣伝やポイント付与などSCとして出来るマーケティング活動も当然に行うため、サービス系テナントに関するマーケティング活動はステークホルダーが増え、広範囲な視点が必要となる
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