脱駅弁依存、冷凍、店舗戦略…コロナ禍の変化に対応する崎陽軒4代目新社長の挑戦
出店、販売形態を臨機応変に対応
他の観光、飲食業界と同様、逆風にさらされている崎陽軒だが、これまでも鉄道の発達とともにヒットが約束されていたわけではなく、社会の進歩に取り残されまいと改良に改良を重ね、ブランドを守ってきた歴史がある。
「お客さまの変化に伴って、提供している商品やサービスも変化していくべきだろうと考えている。いま崎陽軒ができていること、できていないことも冷静に見極めることが大事だ。伝統を守りつつ、会社として必要なものを取り入れ、新しい取り組みにも積極的にチャレンジしていきたい」
コロナ禍は人の流れを一変させた。野並晃氏が社長に就任する前から起きている現象に対し、崎陽軒は商品開発も出店戦略も柔軟に対応している。「巣篭もり需要」に対応する商品として「おうちで駅弁シリーズ」や「おうちでジャンボシウマイ mini」、各種シウマイ・点心類の冷凍便をインターネット経由で購入できるよう、4月にECサイトを拡充リニューアルした。電車や新幹線に乗る人が減ったとしても、冷凍の状態で提供できれば、消費者の自宅にまで駅弁をリーチすることができる。新作を待つファンがいれば商品のシリーズ化が持続する。ECサイトのリニューアルでは、購入額100円ごとに「シウマイル」が付与され、ブロンズからシルバー、ゴールド、2000シウマイルで「マスター」に昇格するというインターネット会員限定の制度も導入した。
ちなみに、「ジャンボシウマイ」は従来、崎陽軒本店での結婚披露宴で提供されてきたサプライズとお祝いを兼ね備えたメニューで、新郎新婦がケーキ入刀のように巨大シウマイをカットすると中から一口サイズのシウマイがあふれ出るというもの(外側のジャンボシウマイも食べられる)。家庭で、いつもと違った食卓を囲みたいというニーズに対し、ジャンボシウマイを小型化し「昔ながらのシウマイ」22個が現れるように改良した、シウマイ愛と遊び心に満ちたメニューだ。