セブン&アイ、イオン1Q決算分析、両社の命運を分けたのは……
6月から7月にかけて、2月決算企業が多い流通系企業の第1四半期業績が相次いで発表された。イオン(千葉県/吉田昭夫社長)が7月6日、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)も7月7日に23年2月期第1四半期の決算を発表。流通業界における「双頭の鷲」の1Q決算と今期の見通しを見ていく。
海外事業が絶好調のセブン&アイ
セブン&アイの2023年2月期第1四半期連結決算は、営業収益が対前年同期比57.3%増の2兆4473億円、営業利益が同32.1%増の1023億円、 当期純利益が同51.2%の650億円の大幅増収・増益だった。
なお、同時に発表した23年2月期の通期業績予想では、営業収益が対前期比19.0%増の10兆4130億円、営業利益が同14.8増%の4450億円、当期純利益が同17.2%の2470億円に上方修正した。このままいけば、営業収益・営業利益とも過去最高を更新し、営業収益は初の10兆円の大台に乗る見通しだ。
まさに絶好調のセブン&アイの1Q決算だが、セグメント別にみると営業収益・利益とも海外コンビニエンスストア事業(以下、海外CVS事業)による寄与が大きい。
通期の営業収益見通しの内訳(ただし「収益認識に関する会計基準」適用前)を見てみると、海外CVS事業が対前期比42.7%増と5割近い伸びを計画。金額ベースでみると、前期から2兆2156億円の増収となり、連結売上高に占める海外CVS事業の構成比は7割近くになる見通しだ。セブン&アイは今や、れっきとしたグローバル企業と言っていい。
買収したスピードウエイの店舗が上乗せされ、アメリカにおける店舗数は前年同期から30%増しの1万2588店舗となった。国内コンビニエンスストア事業はフランチャイズ店舗が主体であるのに対し、海外は直営が多いため、業績への貢献度も高い。
海外ほどではないが、国内事業も堅調に推移しており、通期業績予想では、スーパーストア事業が対前期比2.2%、百貨店・専門店事業が同11.4%増、国内コンビニエンスストア事業は同1.5%増といずれも前期実績を上回る見通しだ。