コンサルティングサービスを武器に業績好調のノジマ、今期の戦略は?
ノジマ(神奈川県/野島廣司社長)が5月6日に発表した2022年3月期連結決算は、売上高が5649億円(対前期比8.0%増/前期から416億円増)、EBITDA※が535億円(同3.4%増/同17億円増)、当期純利益が257億円(同51.0%減/同269億円減)だった。売上高は2期ぶり、EBITDAは5期連続で過去最高を更新した。
なお、22年3月期は「収益認識に関する会計基準」変更の期でもあり、変更影響を除いた場合の実質的な売上高伸長率は同11.9%増となっている。
※Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization:利払い前・税引き前・減価償却前利益
家電量販店、キャリアショップともに好調
特別定額給付金や巣ごもり・テレワークに伴う一過性需要など、家電業界に吹いた追い風はぴたりとやんだ。さらに天候不順にも見舞われ、大手家電量販店各社の最新決算は減収に沈んだ企業が目立つ。その中で、ノジマの最新決算では、実質2ケタの増収を達成している。セグメント別にみても、「デジタル家電専門店」「キャリアショップ」「インターネット」「海外」のいずれも前期を上回った。
主力のデジタル家電専門店運営事業については、前期に反動減の影響を受けた一方で、ノジマが得意とするコンサルティングセールスの推進や、有機ELテレビの販売好調、意欲的な出店戦略により、売上高は同2.2%増の2514億円で着地した。
なお今期は、従来どおり強みとする住宅地のショッピングセンターなどへの出店に加え、「池袋」「新宿」駅前などの好立地への進出を果たし、トータルで17店をオープンさせた。同時に、既存店舗の改装も積極的に進め、期末店舗数は226となっている。
一方で、低料金携帯プランへの切り替えや、量から質への転換に伴う通信キャリアの販促報奨金縮小といった逆風もあって、スマホ販売ビジネスは厳しい状況に置かれた。そうした中でノジマは、消費者のライフステージに応じた顧客本位のコンサルティングサービスに加え、店舗の移転や改装を積極的に進め顧客利便性向上に腐心した。
22年3月期は組織にも手をつけ、キャリアショップ運営を手掛ける子会社ITXを2社に分社化、社内でNTTドコモとKDDIの拡販を競わせる体制を構築した。結果として売上高は同2.9%増の1879億円となっている。
ここ数年、低落傾向を続けてきた同事業だが、22年3月期は久しぶりに持ちこたえた格好だ。
店舗に関してはスクラップアンドビルドに取り組み、直営店・フランチャイズ店合わせて9店舗を新規出店する一方で、22店舗を閉鎖し、期末店舗数は585店舗となった。ピークの2018年3月期(663店舗)からずっと店舗数を絞り続け、現在に至っている。
EBITDAについては、スタッフ増員や積極的出店に伴う販管費増はあったものの、増収効果により影響を吸収、前期実績を上回っている。ただ、スルガ銀行との提携解消に伴う投資利益減により、当期純利益は前期より半減した。