DXでリアル店舗従業員の働きがいをつくることが重要なワケ

染谷 剛史 (HataLuck and Person代表取締役)
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新規採用より既存スタッフの戦力化を

 次に「②労働市場の変化:労働力人口の変化」について説明します。店舗ビジネスは労働集約的であり、これまで労働力は比較的安価に獲得することができていました。さらに業務を単純化・標準化・専門化することで多くの人材を活用し、各社は出店拡大を実現してきました。

 しかし、人口減少とともに労働力人口も減少するため、採用コストはかつての2倍以上になる可能性もあります。つまり、採用にコストをかけるより、既存スタッフの定着・戦力化を進めるほうが効率的です。とくに、店舗でサービス力の向上をめざすとなると、人材を定着させ、エンゲージメントを高め、接客力を強化することが求められます。

 こうした環境変化に適応し、サービス力を強化し、優位性を高めていくには、「働きやすく、働きがいのある店づくり」を実現することが求められます。それによってスタッフが持っている「潜在能力を解放」し、付加価値の高いサービスの提供をめざすことが重要です。

 それでは、「働きやすく、働きがいのある店」はどのようにつくればよいのでしょうか。ヒントは労働生産性の式にあります。

図②労働生産性を高める方法
図②労働生産性を高める方法

 労働生産性は分母に「総労働投入時間」、分子に「粗利」をとることで求めることができます。単位時間当たりの付加価値の高さが、労働生産性です。図②のように、労働生産性を高めるには、「業務効率化による時間短縮」と「付加価値の高い業務へのシフト」が重要です。たとえば、労働時間の多くを付加価値の高い「接客」のような業務に集中させることで、労働生産性は高まります。スタッフの仕事を単なる作業ではなく、顧客接点を担う付加価値の高い仕事にすることで、仕事へのやりがいが生まれ、働きがいが向上します。

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記事執筆者

染谷 剛史 / HataLuck and Person代表取締役
1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。
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