DXでリアル店舗従業員の働きがいをつくることが重要なワケ
新規採用より既存スタッフの戦力化を
次に「②労働市場の変化:労働力人口の変化」について説明します。店舗ビジネスは労働集約的であり、これまで労働力は比較的安価に獲得することができていました。さらに業務を単純化・標準化・専門化することで多くの人材を活用し、各社は出店拡大を実現してきました。
しかし、人口減少とともに労働力人口も減少するため、採用コストはかつての2倍以上になる可能性もあります。つまり、採用にコストをかけるより、既存スタッフの定着・戦力化を進めるほうが効率的です。とくに、店舗でサービス力の向上をめざすとなると、人材を定着させ、エンゲージメントを高め、接客力を強化することが求められます。
こうした環境変化に適応し、サービス力を強化し、優位性を高めていくには、「働きやすく、働きがいのある店づくり」を実現することが求められます。それによってスタッフが持っている「潜在能力を解放」し、付加価値の高いサービスの提供をめざすことが重要です。
それでは、「働きやすく、働きがいのある店」はどのようにつくればよいのでしょうか。ヒントは労働生産性の式にあります。
労働生産性は分母に「総労働投入時間」、分子に「粗利」をとることで求めることができます。単位時間当たりの付加価値の高さが、労働生産性です。図②のように、労働生産性を高めるには、「業務効率化による時間短縮」と「付加価値の高い業務へのシフト」が重要です。たとえば、労働時間の多くを付加価値の高い「接客」のような業務に集中させることで、労働生産性は高まります。スタッフの仕事を単なる作業ではなく、顧客接点を担う付加価値の高い仕事にすることで、仕事へのやりがいが生まれ、働きがいが向上します。
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