シーズン本格到来前に振り返りたい、「台風接近」の時の売場づくりとは

常盤 勝美 (True Data流通気象コンサルタント)
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台風接近に向けたチェック項目

 台風の進路予想で、予報円が当地にかかり始める、おおむね最接近5日前からの、チェック項目を時系列的にまとめます。

時系列 MDのポイント
4~5日前 台風進路を確認し、直撃(どれだけ接近)する可能性があるがどうかを見極め、台風対策の準備を始めます。最接近時の台風の規模によっては、店舗休業の検討も行います。
交通機関の乱れを想定し、納品予定日が台風最接近日と重なる商品をなるべく減らし、納品日を前後にずらすよう調整します。
3日前 「台風接近中」のPOP掲示を開始し、対策商品の訴求を強化します。その場合、日用品の耐久財(カセットコンロ、ガスボンベ)および使用頻度の高い消耗財の需要増にまずは優先的に対応します。
2日前 日配品、備蓄可能なグロサリー商品(飲料、缶詰、レトルト食品など)の売場強化。
1日前 もし台風接近当日の休業を決めた場合は、総菜や賞味期限の短い商品の売り切りを行い、ロスを最小限にしましょう。また、あまり調理に時間がかからず食べられる簡便惣菜や冷凍惣菜、和日配などを積極的に展開しましょう。さらに、「明日の分の買物を今日のうちに」と、店内放送で購買を促すのも有効です。
当日 お客様、従業員の安全確保を最優先にしつつ、交通機関の運行状況や周辺での被害発生状況を確認しながら営業しましょう。風が非常に強い場合は、一部の窓ガラス用のシャッターを下ろし、自動ドアを手動に切り替えるなどの対応も必要となります。
翌日 大きな被害が発生しなかった場合は、ご褒美需要が高まります。非日常を乗り切った自分やペットたちへのご褒美として、通常より少し価格帯が上のペットフードや高級志向のビール類、その他嗜好品売り場を強化しましょう。
被害が発生した場合は、清掃用品、衛生用品、ゴミ袋など、復旧用の商品の売場を店舗入り口付近に移動させましょう。食料品に関しては、調理(加熱含む)を必要としないおにぎり、惣菜パン・菓子パン、寿司、ペットボトル飲料(ミネラルウォーター、お茶系飲料)、カットフルーツなどを優先的に展開しましょう。台風のコース次第では、気温傾向が大きく変化するので、その陽気に対応した売場づくりを心がけましょう。
翌々日以降 復旧状況により、お客様のニーズも変化します。当初は簡単な調理でできるレトルト食品や食パンなどから需要が回復し、徐々に需要の幅が拡大します。ほぼ復旧すれば、生鮮品を中心とした通常の購買動向に戻ることでしょう。

 万が一、台風が当初予想されたコースと違い、結果的に当地がほとんど台風の影響を受けなかった場合、大規模なロスにつながるのではないか、心配になると思います。確かに需要の規模は当初想定より縮小するかもしれません。ただ、関東以西での大雪予報の際と同様、お客さまは早い段階からマスコミ報道を受けて台風対策を行うため、準備のための需要の高まりは起こります。廃棄ロスは気になりますが、それ以上に大規模な機会ロスを発生させないようにしたいものです。

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記事執筆者

常盤 勝美 / True Data 流通気象コンサルタント

株式会社True Data 流通気象コンサルタント  神奈川県小田原市生まれ。

大学で気候学、気象学を専攻した後、20年以上にわたり民間気象情報会社にて、コンビエンスストア、スーパーマーケット、食品メーカーなどに対してウェザーマーチャンダイジングの指導などを行う。現在は株式会社True Dataに所属し、流通気象サービスを推進している。著書に「だからアイスは25℃を超えるとよく売れる」(商業界)など

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