ビッグ・エー、快適さの追求で描く次世代ディスカウントストアの姿とは
快適に働けると売価が下がる?
冷食売場の平型ケースですが、こだわったのは補充頻度だけではありません。女性スタッフが陳列の際に段ボールを抱え上げても無理のない高さに抑えました。作業のしやすさへの配慮は、日配のスライド棚にも見られます。容量1Lの牛乳を数多く陳列するため、以前からスライド棚は負荷に耐えられる特別仕様のものでした。花畑店では従業員の意見をもとに、スライドの解除スイッチを左右2ヵ所から中央1カ所に変更したモデルを採用しています。1ヵ所なら片手てロック解除できるためで、なるほど合理的です。
また、何年か前の店舗から、店長室はレジのすぐ近くに移動しています。店舗は常に2名体制ですから、店長はいつでもレジに気を配る必要があります。店長室がレジ近辺に移動した結果、花畑店のケースでは、店長の業務中の歩数が改装前の約1万8000歩から1万2000歩に減少したといいます。この歩数3割減、仮に店長が身長1m70cmだとすれば4kmほどの歩行距離の違いになりますから大きな差です。
三浦社長のお話を聞くと、働く人の快適さを追求することと「1円でも安く売るための根拠づくり」は根底でつながっていることが分かります。「他の店よりも働きやすい環境にすることで定着率が上がれば、採用や人材教育に費やす経費が下がります。そのことがより安く売る原資になっていくのです」(三浦社長)。一方で新戦力を必要とする際には、働きやすい環境が採用を容易にすることも期待できます。