ビッグ・エー、快適さの追求で描く次世代ディスカウントストアの姿とは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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ディスカウントストアのイメージ刷新、22年度上期にかたちに

 前述のようにSKUを削ってまで通路幅を拡張したのは、買物体験の快適さを重視したからです。ビッグ・エーでの買物をいっそう快適にするために、三浦社長はディスカウントストアのイメージとして抱かれがちな「安かろう悪かろう」を変えたいと言います。

 「ネットでなんでも購入できる時代にわざわざご足労いただくわけですから、気持ちよく買物できる環境を整えることはもちろん、あの店に買物に行くと思ったときの印象が大切です。ディスカウントストアに対してお客さまが抱くイメージから変えていきたいのです」(三浦社長)

 イメージを変えるといっても、外観や内装をラグジュアリーにするといったことではありません。「ディスカウントストアとしては、1円でも安く売ることにつながらないことに投資はできない」(三浦社長)という基準は不変です。

快適さを追求する先にDSのイメージ刷新を目指す

 従来のディスカウントストアとは一線を画すイメージをどうやってかたちにするか、社内で検討を続けたものの明確な答えは見出せなかったそうです。そこで芸術系などの大学や短大、専門学校、高校などに声をかけ、学生から店舗デザインを公募するコンペティションを3月末まで実施しています。最優秀賞1点には100万円の賞金を出します(プロの建築士にデザインを依頼するよりは低価格とか…)。店舗デザインに若い感性を取り入れ、実際に店舗として仕上げるのは22年度上期の新店や改装店になる予定といいます。

 店舗デザインをこのタイミングで変更するのにも明確な理由があります。昨年統合したアコレの看板を、ビッグ・エーに切り替えていく必要があるからです。22年2月時点で110店ほどの店舗数がありますが、改装のタイミングは適時とのことで変更を急ぐことはしません。その理由も明確です。看板を変えるだけでは1円でも安く売ることにはつながらず、買物体験や働き方が快適になるわけでもないからです。看板の統合は、中身の変更を伴う改装に合わせて計画的に進めていく方針です。

 

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