第289回 ファストフードからコンビニへ、あるいは100円ショップへ…ロードサイドの店が時代とともに変わる理由

樽谷 哲也 (ノンフィクションライター)
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評伝 渥美 俊一(ペガサスクラブ主宰日本リテイリングセンター チーフ・コンサルタント)

「だめなものを追ってもだめ」

 大規模小売店舗法(大店法)による新規出店規制について、チェーン化志向勢はどのような対策をとるべきか。

 渥美俊一は、いつも「あくまでも過渡期のフォーマット」と前提条件を置いたうえで、売り場面積150坪の日本型スーパーストア、そしてロードサイド型のフリースタンディングの専門店を展開すべしと指導した。

 日本型スーパーストアの盛衰を追うことが本章の目的だが、当事者でありながら、寄せては返す小売業界全体の波、あるいはトレンドを、恐怖を覚えつつ、冷静に見ていた経営者の眼差しというものを思い浮かべる。

 すかいらーくグループの創業4兄弟の次兄で、ペガサスクラブ結成と同じ1962(昭和37)年4月に、東京・ひばりが丘団地で最初の店を出したときから、兄弟で一斉に取締役を退く2003(平成15)年3月まで社長を務めていた茅野亮(ちのたすく)(1934-2010)の述懐である。茅野に、社長の退任と同時に最高顧問に就いて3カ月後の2003年6月に改めてインタビュー取材した。すかいらーくは、ペガサスクラブ会員のフードサービス業の代表格であり、4兄弟の中でもとくに茅野は渥美に近いことで知られた。

 「渥美先生に話を伺っていると、『だめなものはいくら追っかけたってだめなんだから、やめればいいじゃないの。商売というのは時流に乗ればうまくいくのだから、時流に合ったものをやりなさいよ』とよく教わりました」

 説かれているのはフォーマット論である。時流に合わせてフォーマットを乗り換える、というのは、渥美のチェーンストア経営論の根幹である。茅野は、こうつづけた。

 「それから、『でも、基本になるのは

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記事執筆者

樽谷 哲也 / ノンフィクションライター

1967年、東京都生まれ。千葉商科大学卒業。雑誌編集者を経て、98年からフリーランスに。渥美俊一とJRC、流通企業と経営者、周辺の人物への取材は10年以上に及ぶ。「人間 渥美俊一」を渾身の筆で描く。

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