流通再編の衝動その1 M&Aに見出す価値激変!ダイエー、イオン、次の主役は?!

2019/07/16 05:00
森田俊一(流通ジャーナリスト)

流通業界の再編が活発化している。2018年4月にイズミ(広島県)とセブン&アイ・HD(東京都)が業務提携したかと思えば、同10月にイオン(千葉県)とフジ(愛媛県)の資本業務提携を締結。直近ではドラッグストア業界ではココカラファイン(神奈川県)をめぐってマツモトキヨシHD(千葉県)とスギHD(愛知県)が争奪戦を展開するなど、従来の大手による中小チェーンの獲得から大手同士の再編に発展している。一体何が流通業界を再編へと駆り立てるのか。
HD=ホールディングス

Photo by metamorworks from iStock
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事業や不動産だけでなく、時間と人材を買う

 流通業界は再編の歴史だ。古くは不動産会社の秀和が中堅スーパーの合従連衡構想を打ち出し、総合スーパー(GMS)の忠実屋(ダイエーが吸収合併)、長崎屋(東京都)、食品スーパー(SM)のいなげや(東京都)などの株式の買い占めに動いたのが思い起こされる。

 実は、この秀和の背後で動いていたのがダイエー(東京都)の創業者である中内氏であったという説がある。中内氏は「一流主義より一番主義。成長には絶対一番でなければならない」という考えのもと、積極的なM&A(合併・買収)を展開した。

 規模を拡大すれば、小売はメーカーとの交渉を有利に進められるようになる。仕入れ原価は下がり、買収先の店舗網を自陣に取り込むことで勢力範囲を広げられる。M&Aで相手先の事業や不動産だけでなく、それまで築いてきた時間と人材を買う−−。ダイエーのM&Aが残した教訓だ。

 しかし、ダイエーは一時期3兆2000億円(1995年2月期)にまで拡大した規模を生かせなかった。小売がバイイングパワーを発揮させ、メーカーへの対抗力を確保するというのが当初のねらいだったものの、いつの間にか規模の拡大が「目的」化した。規模を活用して「質」へと転換しなければ、それは単なる膨張である。

 現在、ダイエーはイオン(千葉県)傘下に入り、経営再建を進めている。ダイエーが残したM&Aの足跡は、再編が活発化する現在に通じているのだろうか。

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M&A巧者イオンの戦略

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