1000店、2000億円達成!空白の都心マーケットでまいばすけっとが成功した理由とは

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
Pocket

次なる目標は2000店舗?ドミナント強化か、エリア拡大か

 では、1000店舗を達成したまいばすけっとが次にめざすのは何か。

 まいばすけっとでは、具体的な売上高目標や店舗数目標を公表していない。だが、19年に実施した本誌インタビューで、まいばすけっと前社長の古澤康之氏は「2000店舗が当面の目標」と述べている。過去掲載された大手求人サイトのページにも「2000店舗規模への拡大を視野」との文言があり、1000店舗の次に見据えるのは2000店舗体制である可能性が濃厚だ。

 22年1月現在、まいばすけっと1000店舗のうち、約700店舗が東京23区内への出店となっている。対して、CVS最大手の「セブン-イレブン」の東京都の店舗数は2832で(2021年12月末時点)、そのうち半数の約1400店舗が23区内にあるといわれている。まいばすけっとがCVSのシェアを奪いながら成長してきた経緯を考えると、23区内にはまだ出店できる余地が残っているといえそうだ。

 2000店舗をめざす過程では、出店エリアの拡大という選択肢も考えられる。現に、まいばすけっとは21年後半に千葉県、埼玉県にそれぞれ1号店を出店している。千葉県は初進出からわずか2カ月で4店舗体制となっており、今後も東京都と隣接する市を中心に店舗網を拡大していく可能性が高い。おそらく23区ドミナントを推進しながら、新エリアで成立する店づくりやMDの調整を行い、多店舗化をめざすだろう。22年以降、どこまで新エリアの出店数が拡大するかに注目だ。

 いずれにせよ、まいばすけっとが今後も年間100店規模の新規出店をしていくことは間違いない。そして、1001店舗から2000店舗達成までの期間は、これまでに要した16年よりも格段に短くなるだろう。

 人口の都心回帰と少人数世帯化と高齢化、そしてそこに発生するふだんの食需要を満たす身近な店の欠落──。これはまいばすけっとが誕生する少し前から、小売業界で繰り返し指摘されてきた「空白マーケット」という大きな鉱脈である。

 これをねらって、実にたくさんの企業が挑んだ。だが、結局多店舗化というかたちでモノにできたのは、まいばすけっとだけだったといっていい。まいばすけっとはなぜその鉱脈を掘り当てることができたのか。この成功から、自社はどんな教訓やヒントを得られるのか。そして、まいばすけっとはこの先どこに向かうのか。

 さまざまな調査や取材を通じてまいばすけっとの強さを分析した本特集を読めば、それらがはっきりと見えてくる。

まいばすけっと会社概要

本部所在地 神奈川県横浜市神奈川区富家町1-1
代表者 岩下欽哉
設立 2011年9月
分社化 2012年1月21日
資本金 16億円
従業員数 2万3411人(21年3月1日時点)
株主 イオン、イオンリテール

次項以降は有料会員「DCSオンライン+」限定記事となります。ご登録はこちらから!

1 2 3

記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態