2021年の流行グルメ振り返り キーワードは「0.7食」「健康」
「健康に気を遣う」一方
「贅沢」「非日常」を求める傾向も
コロナ禍での食生活に対する意識の変化では、全体の33.5%の人が「健康に気を遣うようになった」と回答した。2021年の食の流行ランキングにおいても、オートミール、糖質ゼロビール、発酵食品などが上位に入り、納得の結果となった。
その一方、調査結果では「娯楽が減ったのでちょっと贅沢をしたくなった」32.6%、「非日常を味わいたい」18.8%といった回答も目立った。昨年に続き、消費者は最も身近な娯楽ともいえる「食」に対していつもより贅沢なものを求める傾向があると言える。
コロナ禍にかかわらず、過去を振り返るとライフスタイルと食文化・食生活は相関性が高い。狩猟、採取の生活をしていた原始時代には、食材が手に入ったときが「食事時」であり、現代社会でいう「1日3食」といった概念は当然なかった。諸説あるが、その後も人々は太陽とともに活動し、朝と昼を兼ねた食事をとり、夕食は明るいうちに済ませ、暗くなれば就寝する、といった1日2食が当たり前だった。
その後、行灯などに代表される明かりが普及したことで1日の活動時間が延び、1日2食では日中にお腹が減るため、朝食、昼食、夕食の1日3食になったともいわれる。「夜食」や「おやつ」といった中間食が生まれたのも、経済活動の活発化とともに、ライフスタイルが変化、多様化した結果といえよう。
生活・働き方の変化から
食スタイルは生まれる
コロナ禍で人々は否が応でもライフスタイル、働き方の変化が求められている。そのことは、外食をする場所、相手、業態、また外食・中食・内食に関わらず、食事回数や1回当たりの量など、さまざまな形で食生活にも大きな影響を及ぼしている。そして長引くコロナ禍で変化した食スタイルは完全にもとには戻らないことが予想される。
そういったなか、内食・中食・外食のボーダレス化はさらに加速していき、その時その場に行かなければできない体験からくる感動、利便性など、外食や中食それぞれに、他にはない価値がさらに求められてくるはずだ。
2021年の流行グルメのキーワードである「0.7食」「健康」。なかでも「0.7食」は新たに生まれたトレンドで、2022年にはさらに定着し、さまざまな商品が開発されることが予想され、実際にすでに開発に着手している大手流通業、外食チェーンも存在する。このように事業主が切磋琢磨し、ライフスタイルの変化に合った食の開発が進み、人々の食生活が豊かになることを願ってやまない。
【執筆者】
有木真理(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
㈱リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めるとともに、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成やさらなる外食機会の創出をめざす。自身の年間外食回数は300日以上、ジャンルは立ち飲みから高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがウリで、1日5食くらいは平気で食べることができる。
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