ホテル、スイーツ、レストラン…もはやアパレルではない「ワールド」

堀尾大悟
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「小売産業全体を元気にしたい」 門外不出のノウハウ開放を決断

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 前代表の寺井秀藏氏が1990年代に開発し、確立したワールド独自のSPAプラットフォームは、約30年にわたって築き上げてきた同社の代名詞であり、ビジネスの心臓部とも言えるものだ。これまでは門外不出とされてきたそのノウハウを、プラットフォームサービスとして開放することを決断した背景には、長年にわたるアパレル業界の成長性の変化があった。

 「百貨店やショッピングセンターに出店しているのは、もちろん当社だけではない。アパレル産業、ひいては小売業全体が元気になり、売場が活性化していかないと当社としても成長曲線を描いていけないとの危機感があった」(飯田氏)。

 加えて、近年における消費行動・ライフスタイルの変化も、プラットフォーム事業に注力する要因の一つだ。

 「ECの普及などに伴い消費行動が大きく変化したことも、当社を含め、リアルでの接客販売を軸とする多くの小売業にとっては脅威となっていた。その点でも、プラットフォーム事業を新たな成長ドライバーとして確立する必要があった」(同)。

 折しも、2020年からは新型コロナウイルスの影響で、ライフスタイルの変化とともにEC市場が大きく成長。D2Cブランドも次々に台頭し、小売業界は大きな転換期を迎えている。同社のプラットフォーム立ち上げ時には予見できなかったことだが、結果として「アパレル一本」からの脱却を図ろうとしたその判断は正しかったといえるだろう。

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