過去最大の営業利益を叩き出すZOZO 「ファッションECを超える」3つの新戦略とは

2022/01/21 05:55
    両角晴香
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    澤田CEOが打ち立てる3つの戦略

    ZOZOSUIT2
    3D計測用ボディスーツ「ZOZOSUIT 2」

     現在ZOZOは、「ZOZOTOWN」のさらなるサービス向上を目指しつつ、新ビジネスモデルの構築にも力を注いでいる。柱となる3つの戦略は次のとおりだ。

    1. 「買う」以外のトラフィックも増やす
    2. 生産支援に踏み込む
    3. 技術ライセンス販売にトライ

     まず、ZOZOのメーン事業である「ZOZOTOWN」をどう発展させていくか。答えは、「買う」以外のトラフィックを増やすことにあるという。そのための施策のひとつとして、2111月に始動したのがOMOのプラットフォーム「ZOZOMO」だ。取り扱いブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置きなどが可能になる画期的なサービスである。「ZOZOMO」を通して、「ZOZOTOWN」ユーザーに在庫情報を共有することにより、実店舗への送客を可能にするものだ。その際、別商品との“あわせ買い”もブランド側は期待できる。

     2つ目は、EC以外の収益ポイントを増やすための「生産支援」だ。「SNSや動画配信サービスの普及により、34年ほど前からD2Cに力を入れるアパレル企業が増えてきた」と松田氏。そうした背景から、D2Cを支援する「YOUR BRAND PROJECT (ユアブランドプロジェクト) 」を立ち上げたが、生産支援には本プロジェクトのノウハウも活かされる。「YOUR BRAND PROJECT」の取り組みは2パターンある。一つは、SNSで活躍するインフルエンサーを対象に、ZOZOが製造や開発、販売のノウハウを提供することで、インフルエンサーの手によるD2Cブランドを立ち上げるパターン。もう1つが、同社が運営するファッションコーディネートアプリ「WEAR(ウェア)」のインフルエンサーをZOZOTOWNに出店するブランドに紹介、ZOZOTOWN内にD2Cブランドを拡充するパターンだ。2パターン合わせて現在60以上のブランドを展開中で、昨年11月には阪急うめだ本店とタッグを組み、初のポップアップショップを開催。ZOZOTOWNで展開する13の人気D2Cブランドが、オフラインにて集結した。

     3つ目は、計測テクノロジーのライセンス販売だ。ZOZOが力を入れるテクノロジー開発の一つに、計測テクノロジーがある。前提として、ECサイトで服やコスメを購入する際に、「試着や試し塗りができない」という障壁を、解消するためだ。17年に大々的に発表した採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」は記憶に新しいが、その後身にあたる「ZOZOSUIT 2」に加え、「ZOZOMAT」、「ZOZOGLASS」という3つの計測テクノロジーのうち、「ZOZOMAT」のライセンス販売を進めている。ライセンス販売第1号はブルガリジャパンで、スマートフォンを使って精度の高い手指の3Dサイズ計測が自宅で簡単にできる「ZOZOMAT for Hands(ゾゾマットフォーハンズ)」を、昨年11月に期間限定で導入した(現在は終了)。

    EC事業本部
    EC事業本部 本部長の松田健氏

     取材中、松田氏がたびたび口にしたのは「ZOZOらしさ」という言葉だ。「前澤(友作・前社長)が代表を務めていた時から引き継がれている“ZOZOらしさ”を、澤田が『ソウゾウのナナメウエ』という言葉で言語化した。さまざまな新規事業を手がける中で、お客さまの想像を超える仕事をしていきましょう、と。それがZOZOらしさであるとスタッフ全員で認識し、ファッション業界を盛り上げていきたい」。

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