移動距離に応じてポイントがたまる「モビリティテック」 小売が応用するとどうなるか?
人の“移動”が注目される理由
動くだけでお金になる──。このところ筆者はあるモビリティ・テックに注目している。といっても電気自動車や自動運転の類ではない。“消費者の移動”そのものに着目したサービスが勃興しているのだ。
簡単に言えば、アプリを介してユーザーが移動した距離に応じてポイントが貯まり、小売店で使えるクーポンや特典に交換したり、社会福祉法人などに寄付したりできるというもの。とくに米国ではさまざまな関連アプリがリリースされており、そのうち「Miles(マイルズ)」は今年10月に日本に上陸し話題を集めている。
多くのアプリでは徒歩や自転車といった環境負荷の低い移動手段のほうがポイント還元率が高く設定されており、持続可能な社会の実現に寄与しているのが特徴だ。とはいえ、これらのアプリの本質は広告ビジネスである。ユーザーがクーポンを発行した場合、その発行元からアプリ開発側に広告宣伝費として一定金額が振り込まれる仕組みとなっているのだ。
単純なサービスのようで、思いのほか活用範囲は幅広い。たとえば大型イベントで、時間帯別にクーポンを発行すれば人流の分散にもつながるだろうし、地方では地元商店街を通る散歩ルートをあらかじめ指定しておくことで、人を呼び込むことにもつながる。
さらに、リアル店舗と組み合わせることも考えられる。